『メキシコ麻薬戦争 -アメリカ大陸を引き裂く「犯罪者」たちの叛乱』 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『メキシコ麻薬戦争 -アメリカ大陸を引き裂く「犯罪者」たちの叛乱』

 国際メディアでラテンアメリカ報道を行っている著者が、原題の「メキシコの犯罪的蜂起の内幕」が示すように麻薬売買犯罪集団の国家のコントロールに挑戦する実態をレポートしたものである。
 第Ⅰ部「歴史」では麻薬生産の黎明期として芥子(ケシ)栽培、ヒッピーたちの大麻等使用による第一次ブーム、メキシコ麻薬組織カルテルの形成、麻薬王たちを生んだ三大カルテルの時代、メキシコ政権交替による「麻薬戦争」化を、第Ⅱ部「内臓」は麻薬の流通に絡む運び屋、競争相手や取り締まり官憲との対峙の先兵である殺し屋、マフィアの音楽・映画・宗教、体制に挑む暴力の拡大を、第Ⅲ部「運命」ではスパイと裏切りが横行する捜査、組織犯罪の拡大と国際化、犯罪の多様化と、ますます大きく激しくなる麻薬犯罪の状況をのべ、最後に麻薬戦争終結への道を提言している。麻薬問題の深刻さ、凄惨さ、犯罪の実態とそれらへの対策について、危険をかいくぐっての取材は迫力がある。

〔桜井 敏浩〕

(ヨアン・グリロ 山本昭代訳 現代企画室 2014年5月 417頁 2,200円+税)
〔『ラテンアメリカ時報』2014年秋号(No.1408)より〕