『図説ブラジルの歴史』 金七 紀男 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『図説ブラジルの歴史』 金七 紀男

大航海時代の1500年にインドに向かうポルトガル船団に「発見」され、300年の植民地時代を経て1822年に独立し、日本とも移民、投資、貿易等で関係の深いブラジル通史を多くの図版、地図、写真、さらには風刺画も加えてビジュアルに分かりやすく解説している。
植民地期、独立後のコーヒー経済に支えられた近代、1930年から20年間統治したヴァルガス政権、64年から21年間続いた軍事政権と民政復帰後の新生共和制の現代までの解説に加えて、キロンボ(逃亡奴隷の共同体)、カヌードス戦争(宗教的指導者に率いられた農民主体の民衆運動)、大土地所有制に対抗する土地無し民運動、江戸時代に最初に立ち寄った日本人、ブラジルサッカーを支えた黒人と移民などのコラム、海図や宗教画以外の図絵に関心が薄かったポルトガル人に替わって貴重な図版を残したのは、17世紀に一時北東部を占領したオランダ人や欧州からの調査来訪者だと指摘した著者のあとがきに至るまで、ブラジルの歴史を知るうえで面白く読める。

〔桜井 敏浩〕

(河出書房新社 2014年10月 127頁 1,850円+税)

〔『ラテンアメリカ時報』2014/15年冬号(No.1409)より〕