『アルゼンチンアリ -史上最強の侵略的外来種』 田付 貞洋編  | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『アルゼンチンアリ -史上最強の侵略的外来種』 田付 貞洋編 

アルゼンチンアリは南米アルゼンチンなどが原産地で体長3mm足らずで強大な牙や毒針も持たないごく普通の蟻であり、そこでは特段問題になっていないにもかかわらず、ここ150年ほどの間に交易の拡大に付帯して世界各地に拡散し、家屋・農業害虫、生態系の撹乱者として世界的害虫になった。日本にも1993年に広島県で生息が確認されて以来、中国地方から拡散して2010年には関西・東海・関東まで確認され、殺虫剤や毒餌剤などによる駆除が試みられてきたのだが、確実な防御手段は未だない。

本書は、アルゼンチンアリの形態・分類・生態の基本的な生物学的特徴と、日本での分布拡大、生息地の他に例を見ないスーパーコロニー構造、原産地アルゼンチンでの生態環境、南米、欧州、北米それぞれでの侵入の実態、雄蟻と働き蟻の役割の解明などを解説した基礎編と、難防除害虫となったアルゼンチンアリによる侵入地の特性と実態、これまで試みられた防除法の実例と問題点、今後の効果的な防除法のための各種の実験結果の紹介を述べた対策編から構成されている。特定の課題やエピソードを取り上げた8つのコラムも付いて読者の理解を助けており、今や「史上最強の侵略的外来種」と言われるまでになったアルゼンチンアリを知る上での総合的な解説書である。

〔桜井 敏浩〕

(東京大学出版会 2014年3月 331頁 4,800円+税)