『文明の盛衰と環境変動-マヤ・アステカ・ナスカ・琉球の新しい歴史像』 青山和夫・米延仁志・坂井正人・高宮広土編 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『文明の盛衰と環境変動-マヤ・アステカ・ナスカ・琉球の新しい歴史像』 青山和夫・米延仁志・坂井正人・高宮広土編

福井県水月湖の湖沼堆積物の年縞分析から年代測定の標準時ともいえるデータを取り出し、マヤ低地、ペルー南部、南西諸島の堆積物試料とを比較する環境史考察のアプローチによって、環太平洋で発達した古代文明の起源、発達、衰退が環境の変化を乗り越えて営まれてきたことを解析し、環境文明史という新しい学問を構築することによって環境がメソアメリカ、アンデス、環太平洋の島嶼の文明史に及ぼした影響の相互の関わりを明らかにしようとした研究報告。

マヤ文明の起源、その衰退が干魃によるものではないこと、ナスカの地上絵の製作が大規模気候変動を灌漑技術向上と地上絵による祭祀で乗り越えようとしたこと、琉球諸島では長く狩猟採集で生活が続けられ農耕はその後行われるようになってきたことなど、消えた文明の人類と環境の共生を探求している。

この大型研究の成果は、『マヤ・アンデス・琉球-環境考古学で読み解く「敗者の文明」』(朝日新聞出版 2014年8月。『ラテンアメリカ時報』2014年秋号で紹介  http://latin-america.jp/archives/10822 )で4名の著者による成果の概説がなされているが、本書は28人の研究者がそれぞれの地でそれぞれの視点から考察した研究成果を分かりやすく紹介したものである。

〔桜井 敏浩〕

(岩波書店 2014年9月 256頁 3,200円+税 ISBN978-4-00-024698-9 )