『アマゾニア 上・下』  ジェ-ムズ・ロリンズ | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『アマゾニア 上・下』  ジェ-ムズ・ロリンズ

ブラジル・アマゾンを舞台にした冒険小説。米政府機関が送り込み全員行方不明になっていたランド博士の調査隊の米軍特殊隊員が辛うじて生還し伝導所で息絶えたのだが、以前失っていた片腕が蘇生していた。さらに彼が逃れて来た道筋の集落や遺体を空輸した米本国の施設で原因も治療法がまったく不明の伝染病が発生する。彼の足跡を辿りその謎を解くべく米CIA、政府機関、軍、FUNAI(ブラジル国立インディオ財団)職員などから成る調査隊を送り込み、ランド博士の息子の熱帯植物学者ネイサンも父の消息を尋ねるべく参加する。ランド博士がアマゾン先住民のシャーマンの病気等治療知識と薬用植物を製薬化する研究をしていたが、同様のフランスの製薬会社も調査隊の成果を奪うべくアマゾンに詳しい生物学者ファーブルに多額の報酬で傭兵を伴い後を追わせる。

調査隊は密林地帯で様々な困難に直面するが、やがて巨大な鰐、ピラニアと毒蛙の中間の両生動物やジャガーの集団に襲われ、護衛の軍レンジャー部隊員はじめ隊員が次々に斃れ、しかもファーブルへの内通者がいて、最後に秘境の地で薬効ある樹液や果実のなる巨木を中心に生活するヤノマミ族の一派の集落に到達した。ここでシャーマンや父を知る村人からの示唆を受け、巨木が多くの動物を根瘤で生きながらえさせ培養して、遺伝子を換えたピラニア・毒蛙動物等を創っていること、樹液と果実により多発癌の発生とその抑制作用、傷などの治療・再生で村人を留まらざるをえないようにしていることなどを知る。かの隊員の腕の再生、村からの脱出後に癌の多発で死んだのはそのせいだったし、父も培養動物の一つとして生きていたのである。

冷酷・非情なファーブルの傭兵隊の襲撃で調査隊員の残り一部と村人の多くは殺戮され、ネイサンたちや村人の生き残った者たちも捕らわれ、巨木には時限装置をセットしたナパーム弾とともにファーブル達は樹液のサンプルを手に入れ、調査隊の責任者オブライエンとその姉の女医を拉致して撤収する。この後、ネイサン達の決死の脱出口、傭兵隊との闘い、姉弟の救出、持ち帰る樹液と果実が世界的に拡大している罹病者の治療に間に合うかなど、波乱の結末へ進む。

まだまだアマゾン地帯には、数多い薬効をもった植物等があり、その一部の使用知識をもった先住民シャーマンがいる一方で、これを製薬化することで莫大な利益を得ようと手段を選ばずに入手しようと考える企業がおり、それらの争奪を奇想天外な科学・医学スリラーを交えた冒険スリラーにしている。

〔桜井 敏浩〕

 

(遠藤宏昭訳 扶桑社 2015年3月 上447頁 800円+税、下391頁 各800円+税 ISBN978-4-594-07220-9/07221-6)