『わたしの土地から大地へ』 セバスチャン・サルガド、イザベル・フランク  | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『わたしの土地から大地へ』 セバスチャン・サルガド、イザベル・フランク 

ブラジルのミナスジェライス州リオ・ドセ河岸に生まれで世界的な写真家のサルガドにフランスのジャーナリストがインタビューして纏めた聞き書き。

ブラジル内陸の野生の風景に原点をもち、北東部セルジッペ州やパラナ州でのMST(土地無き農村労働者の運動)に軍政下の1969年に妻とともにフランスに逃れ写真に開眼、国際コーヒー機関のエコノミストの職を捨て、アフリカやラテンアメリカ各地の写真を撮り写真集『別のアメリカ』を刊行する。79年に恩赦によってブラジルへも戻れるようになり、写真家集団のマグナムにも加入し、レーガン米大統領暗殺未遂現場に居合わせ決定的な瞬間を撮影した。世界各地での労働と労働者、例えばブラジル北部パラ州のヴァーレ社金鉱やインドのビハール州等の鉱山労働の姿を『人間の手』で、その移動にともなう都市貧困者のスラム、災害被災者や移民、内戦や民族間虐殺を逃れ国境を越えるモザンビークやルワンダの難民などをルポした経験から『EXODUS』、酷寒と灼熱の地、さらにアマゾン奥地の土着民の部族を訪ね、北極圏からエチオピア高原、アマゾン河流域に至る世界の環境破壊と保護の実態を捉えた『GENESIS』など、多くの優れた「人間の大地」を撮り続けた写真家の実像を、巻末の今福龍太(文化人理学者)の詳しい解説とともに知ることが出来る。

〔桜井 敏浩〕

(中野 勉訳 河出書房新社 2015年7月 236頁 2,400円+税 ISBN978-4-309-27612-0 )