『アフロ・ブラジル文化 カポエイラの世界』 細谷 洋子 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
Japanese English

『アフロ・ブラジル文化 カポエイラの世界』 細谷 洋子

 ブラジル北東部の港町サルバドール周辺で生まれたといわれるカポエイラは、アフリカから拉致されてきた奴隷たちが武器を持つことを厳に禁じられた中で、護身術の練習や踊りが基となって創造された、身体を使う格闘・舞踏・芸能性を合わせもった特異な文化といえるが、近年ではほとんどの大学でカポエイラ関連サークルがあるといわれるほど、日本でも同好者が増えている。
本書はスポーツ科学、舞踏学を専攻する若手研究者が、アクロバット・パーフォーマンスにしか見えなかったカポエイラに魅了され、リオデジャネイロで本場の演技を見たことから、文化的固有性をもち、その奥に深い世界観をもったカポエイラを、スポーツ人類学の視点からその歴史・社会的背景を探究した論文である。
 2003年に制定された法令によるアフロ・ブラジル文化と歴史の教育義務化に始まり、08年のブラジル国内の無形文化遺産登録などの国民統合政策とカポエイラについての教育内容と期待される社会的役割、カポエイラの競技化にともなう競技大会の開催によるシステム化、それとの文化的固有性創造の関係、さらには劇場でのショーに取り上げられるようになったカポエイラのエンターテイメント化の実例も踏まえて、全体として制度からみるカポエイラの社会的役割と文化的固有性を明らかにしようとしている。
                                〔桜井 敏浩〕
(明和出版 2015年4月 151頁 2,000円+税 ISBN-978-4-901933-33-9 )

〔『ラテンアメリカ時報』2015年秋号(No.1412)より〕