『第三の魔弾』 レオ・ペルッツ | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『第三の魔弾』 レオ・ペルッツ

 1519年にメキシコに侵入したコルテスのスペイン無敵軍より早く、ライン河の暴れん坊伯爵といわれたドイツ人グルムバッハとその部下たちが、宗教改革の嵐で神聖ローマ帝国を追放され、メキシコ湾岸に漂着していてアステカ王国の住民に助けられていた。彼とその忠実な部下は、後れて到達したスペイン軍の狙撃兵ノバロから悪魔の助けを受けて賭博で百発百中の銃と三発の弾丸を巻き上げた。大切な銃を失ったノバロはコルテスの命で縛り首にされるが、絶命の寸前に「一発目はお前の異国の王に、二発目は地獄の女に、三発目はお前自身に」との呪いをかけた。
コルテスは客人として招いてくれたアステカのモンテスマ王を捕らえ莫大な財宝を出すよう強要する。スペイン国王への献納分を取り分け、征服者の将校・兵士たちで分配した後、大部分を本国に移送しようとするのだが、カトリックに敵意をもつグルムバッハはそれを阻止するためコルテスを狙撃しようとするが失敗し、モンテスマに銃口を向ける。ノバロの呪いは、その後グルムバッハの愛人の美貌のアステカの娘ダリラ、彼の異母兄弟でコルテスと手を組み、ダリラを手に入れようと誘惑するメンドーサ公爵などの実在・創作上人物が入り乱れ、凄惨な首都ティノティトランの攻防戦などの史実を交えてコルテスのアステカ征服が進む中で、二発目、三発目と実現する。
先祖がユダヤ人迫害を逃れてスペインのトレドからチェコに移住したユダヤ系オーストリア人作家による幻想歴史小説。
                                 〔桜井 敏浩〕
(前川道介訳 白水社(白水uブックス) 2015年7月 366頁 1,600円+税 ISBN978-4-560-07201-1 )

〔『ラテンアメリカ時報』2015年秋号(No.1412)より〕