講演会のご報告「南米アンデス北部2か国の最新情勢」-小瀧徹前駐エクアドル・渡部和男前駐コロンビア両大使の帰任ご報告- (2016年2月10日(水) 開催) - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

講演会のご報告「南米アンデス北部2か国の最新情勢」-小瀧徹前駐エクアドル・渡部和男前駐コロンビア両大使の帰任ご報告- (2016年2月10日(水) 開催)


 2016年2月10日午後3時から、米州開発銀行アジア事務所にてエクアドルおよびコロンビアからそれぞれ帰任された小瀧徹、渡部和男両大使による「南米アンデス北部2か国の最新情勢」と題する講演会を実施し、55名の参加者を得ました。 

■前半の小瀧徹大使によるエクアドル事情のポイントは次のとおり。
・近年の経済成長率はラテンアメリカ全域より高く失業率も5%と低い。巷間もたれている印象とはかなり異なる。
・原油安の影響はあるが、バナナ、エビ、カカオ等農水産品などの非石油部門の輸出額が伸び、石油依存からの脱却に注力している。
・鉱業開発が有力な国家プロジェクトの一つとして注目される。
・農業はポテンシャルが高いが、マーケティング・品質管理が弱く、この面で日本の技術力を活かせる可能性が高い。
・2017年に大統領選挙が予定されているが、制度的に現コレア大統領の再選はないため、次期大統領候補が誰になるか注視される。
・2018年に日本エクアドル国交100周年を向かえるため様々なイベントが計画中である。

■後半の渡部和男大使によるコロンビア情勢のポイントは次のとおり。
・治安が改善され外国直接投資が増加している。
・反政府ゲリラFARC(コロンビア革命軍)との和平交渉が前進、協定調印となるかが今年最大の注目点。
・日本コロンビアEPA(経済連携協定)交渉は14回目となり、大詰めを迎えて両国の我慢比べが続く状況にある。

渡部大使からはさらに、駐在経験のあるパラグアイ、アルゼンチンから見たメルコスールの現状および太平洋同盟とメルコスールの違いについても言及があり、「太平洋同盟とメルコスールを単純に比較して、一方を成功例、他方を失敗例とするのは早計である」と強調された。
 最後に参加者と質疑応答が行われ、両大使から、インフラ整備の現状と課題、地域統合に対する両国のスタンスの違い、コロンビアのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)加盟等についても解説いただいた。


小瀧 徹 前駐エクアドル大使

渡部 和男 前駐コロンビア大使