『メキシコ自動車産業のサプライチェーン -メキシコ企業の参入は可能か-』 星野 妙子 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『メキシコ自動車産業のサプライチェーン -メキシコ企業の参入は可能か-』 星野 妙子

 メキシコの生産台数は2014年時点で中・米・日・独・韓・印に続いて世界7位の322万台でブラジルを追い抜き、自動車産業は目覚ましい成長を遂げている。日本企業を含め外資の直接投資が急増しているが、それらが企業数では圧倒的に多いメキシコ企業の能力向上に繋がっているとは言い難い。グローバル化生産ネットワークに参入するためには、主要輸出市場である米国とのサプライチェーンへの参入には、まだ課題が多い。
 本書はまずメキシコ自動車産業の状況と世界でのポジション、日系企業の進出ラッシュの理由を概説し、メキシコ自動車産業の産業組織と担い手、メキシコ企業がサプライチェーンに参入が進んでいない現状とその背景となった産業成長史、米国での既存のネットワークのメキシコへの移植の進展により、結果としてメキシコ企業の淘汰と参入条件の高度化が進んだことが参入を難しくしていることを明らかにしている。その理由をメキシコの自動車貿易構造と企業の部品調達の特徴から、また日系企業のメキシコ企業に対する評価を参考にして、メキシコ企業の特性等を明らかにし、今後の展望と期待を、参入の意欲と能力をもったメキシコ企業の出現とサプライチェーンの扉が新規参入者に開かれるか?という観点から述べている。
 本書が分析したメキシコの経験は、生産ネットワークがグローバル化してきているところから、他の新興国の自動車等製造業を見る上でも多くの共通点があって参考になろう。
                                  〔桜井 敏浩〕

(アジア経済研究所(新書) 2014年12月 188頁 1,050円+税 ISBN-978-4-258-05117-5 )

〔『ラテンアメリカ時報』2016年春号(No.1414)より〕