『1493 -世界を変えた大陸間の「交換」』  チャールズ・C. マン | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『1493 -世界を変えた大陸間の「交換」』  チャールズ・C. マン

 コロンブス到来以前の新大陸の先住民の人口、優れた文明の起源、生態系との関わりを論拠に、新大陸には高度な文明はなかったとするそれまでの欧州中心の学説に反論した『1491―先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見』(日本放送出版協会 2007年)の続編。
コロンブスの到達によって、何十億年も前から互いに離れていた両大陸間で生態系が往来により交じるようなり、作物等植物や動物、病原菌、奴隷交易を含む人間が相互に移動し、大西洋経由、太平洋経由のいわゆる「コロンブスの交換」が始まった。アマゾン河下流域原産のタバコは世界的なブームを引き起こし、マラリアは地域社会を一変させ、サツマイモとトウモロコシは中国へ伝わり生態系に破壊的影響をもたらして王朝の盛衰に主要な役割を担った。アンデスからのジャガイモの伝播によってその後欧州で農業革命が起き、産業革命はブラジルからアジアに持ち出されプランテーション栽培となったゴムによって引き起こされた。1700年までに大西洋を渡った人びとの約90%を占めたのはアフリカからの奴隷であり、先住民との混血、欧州のみならず中国等アジアからの移住が盛んになって、世界の十字路ともいうべき両大洋のネットワークの統合を象徴するメキシコ市のような多人種・多言語の巨大都市が出現した。こうした「交換」は、現代もなお続いている。
 新たに伝播したものは変容し、人びとは自分たちのニーズや状況に合ったものに加工する。人が住む地球のあらゆる土地が、1492年を境に変化を余儀なくされたのである。大航海時代15世紀以降の激動の世界を描いた壮大な歴史ノンフィクションだが、大部な割りには読み易く、知的刺激に富んでいる。
                               〔桜井 敏浩〕

(布施田由紀子訳 紀伊国屋書店 2016年3月 811頁 3,600円+税
 ISBN978-4-314-01135-8 )

〔『ラテンアメリカ時報』2016年春号(No.1414)より〕