『ショーロはこうして誕生した -忘れられたリオのショローンたち』 A.G.ピント | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『ショーロはこうして誕生した -忘れられたリオのショローンたち』 A.G.ピント

1822年のブラジル独立から88年の共和制樹立までの間、ブラジル人はブラジル人として拠って立つアイデンティティを捜し始めていた頃に生まれた「ショーロ」とは、当時どこでも見かけた音楽演奏スタイルで、かつて正式なショーロ編成はフルート、ギター、カヴァキーニョ(ポルトガル移民が持ち込んだ小型弦楽器。ハワイに入ってウクレレになった)、そして時にオフィクレイド(19世紀に発明されたキー式リード管楽器)やトロンボーンが加わることもあった)、特定の音楽ジャンルを示したものではなかったが、現在ではサンバに先行するブラジル器楽音楽の源流だったと一般的に評価されている。とはいえ、ショーロは単なる古典音楽ではなく、現在に至るも枝を広げ華を咲かせて成長し続けている音楽であり、数々の音楽家が次々に輩出してきた。

原書は1936年にリオデジャネイロで出版された、アレシャンドレ・ゴンサルヴェス・ピントのショローン(ショーロ音楽家)の40年にわたる音楽活動の中での見聞口述を纏めたもの。1900年前後から30年頃のリオの中央駅の近くで、定職(郵便配達夫)の傍らショーロを演奏してきた演奏家が見た仲間の音楽家達の素描と軌跡、周辺で起きたちょっとした事件という出来事などを綴った、いわば街の音楽風俗史。

〔桜井 敏浩〕

(貝塚正美訳 彩流社 2015年12月 310頁 2,800円+税 ISBN978-4-7791-2167-8 )