講演会のご報告「キューバ共和国の最新情勢」-渡邉 優 駐キューバ大使に聞く- (2016年6月22日(水)開催) | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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講演会のご報告「キューバ共和国の最新情勢」-渡邉 優 駐キューバ大使に聞く- (2016年6月22日(水)開催)

【日時】2016年 6月22日(水) 15:00~16:30
【場所】(公財)フォーリン・プレスセンター
【テーマ】「キューバ共和国の最新情勢」-渡邉 優 駐キューバ大使に聞く-
【講師】渡邉 優 駐キューバ大使

 昨年 12 月にキューバに赴任された渡邉優駐キューバ大使をお迎えし、同国の最新情勢について伺いました。50 年ぶりに米国との国交正常化を果たしたキューバへの関心は高く、定員を超える約 90 名の方にご参加いただきました。講演の要旨は以下の通りです。

・1959 年の革命以降、今日に至るまでキューバは社会主義制度をしっかり堅持。国民の平等の維持と経済発展のバランスを政府が慎重にコントロールしている。

・外交においては、冷戦時の旧ソ連や 2000 年以降のベネズエラといった一国依存から脱却し、多角化を図っている。アフリカ等の非同盟諸国に対する影響力は引き続きもつ。

・経済の現状は、サービス業が GDP の 8 割を占め、製造業・農業の生産性向上が課題。外国の進出企業は約 700 社と少ない。今年 4 月の共産党大会では現行の政策を継続することを表明した。社会主義堅持を経済政策の大前提としているため、すぐに大改革とはならないだろう。

・対米関係では、3 月のオバマ大統領のキューバ訪問等で国民の親米感情は高まっている。
一方で課題は多く、キューバ側からは経済制裁解除、グアンタナモ基地返還、反政府プロパガンダの廃止。米国側からは人権問題の解決、接収された米国人資産の返還、経済開放といった懸案がある。米国の大統領選、議会選挙の行方は注視すべきだろう。

・米国の制裁緩和の状況としては、キューバへの観光旅行は認めず、人道支援、学術研究等12 の目的でのみ米国人の渡航が認められているが、実際は米国人観光客が急増している。
農産品等一部品目の米国からの輸入は許可されたが、キューバからの輸出は原則禁止。個人送金は制限撤廃になったが、国際取引でのドル使用を制限している。

・日キューバ関係では、昨年 4 月に岸田外務大臣がキューバを訪問、11 月に第1回日本キューバ官民合同会議が開催された。本年 6 月にはナンバー2と言われるミゲル・ディアスカネル・ベルムデス・キューバ国家評議会第一副議長が初来日した。ディアスカネル氏は日本の技術力、企業倫理に大変感激していた。

・米国との国交回復により革命以前のようにキューバ社会全体が米国に取り込まれてしまうのでは、といった懸念の声もあるが、現政権は社会主義堅持が大前提であり外資にすべて委ねることはしないだろう。

・キューバの魅力は次の通り。①地理的優位性、②高い識字率、③高いインフラ需要、④天然資源(ニッケル等)、⑤安定政権、⑥治安の良さ、⑦すべて官相手のビジネスなため安定かつ大規模、⑧競争がない、⑨米国との関係改善、⑩国民の収入・消費力アップ。

 講演の後、出席者との間で活発な質疑応答があり、米国との国交回復以後の国民の意識の変化、マリエル開発特区の現状、今後懸念される国民の格差について、医療産業の展望、観光客用ホテル不足について、キューバ人の直接雇用等、様々な質問にお答えいただいた。


渡邊駐キューバ大使

会場の様子