『「野球移民」を生みだす人々 ドミニカ共和国とアメリカにまたがる扶養義務のネットワーク』  窪田 暁 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『「野球移民」を生みだす人々 ドミニカ共和国とアメリカにまたがる扶養義務のネットワーク』  窪田 暁

サッカー、ゴルフ、ボクシング、相撲などのプロスポーツ選手の国際移動を移民現
象としてとらえ、ドミニカ共和国(以下 ドミニカ)から米国等へ送り出された野球選
手たち「野球移民」がどのように誕生し、複雑・流動化する現代にあって送り出した
社会との関係の中での生き様を考察した、スポーツを介した国際移住の試論。

ドミニカに野球が伝搬し、米国野球の大リーグ(MBL)による野球アカデミー創設
などの選手リクルート・システムが確立していく過程、野球がドミニカの人々の価値
観に合わされ実践されて「ペロータ」(スペイン語で球)という独自文化になっていて、それが移民とともに越境し移住先の米国において定着していること、幼い時からペロータに馴染んできたドミニカ出身の大リーガーが、出身共同体(バリオ)への富の還元を通じて扶養義務関係が続いていることなどを、多くの事例フィールドノートを交えて明らかにし、移民を送り出している社会との相互交渉の連続性を位置づけたスポーツ人類学の新しい方法論により、「野球移民」を通してドミニカの人々の生活世界を描いている。
                          〔桜井 敏浩〕

(清水弘文堂書房 2016 年2 月 268 頁 4,300 円+税 ISBN978-4-87950-621-4 )

〔『ラテンアメリカ時報』2016年夏号(No.1415)より〕