『コロンビアの素顔』  寺澤 辰磨 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『コロンビアの素顔』  寺澤 辰磨

コロンビアについて、人口動態、地勢、近代史、日系人を概観した「概要」から始まり、コロンビアの現代政治における特質である「二大政党制と1991 年憲法」、格差社会の定着とそれが大きな要因でもあり、長く暴力の横行を引き起こした反政府武装ゲリラ、麻薬密売組織の存在を「社会構造」で、「第二次世界大戦後のラテンアメリカ諸国の経済政策」では輸入代替工業化政策の採りあげと成果、新自由主義導入後の動向を主要国との比較で、さらに現代政治の中で試みられた「ガビリア政権の経済改革」と「ウリベ政権の経済改革」の分析の後、最終章「コロンビアの経済運営の特殊性」について解説している。

著者は大蔵省出身で1975 年から外務省に出向して在アルゼンチン大使館に在勤、国税庁長官から退官後2007 ~ 10 年の間駐コロンビア大使を務めた。コロンビアはウリベ政権以降、ゲリラや麻薬組織を追い詰め、劇的に治安を回復させているが、それらの背景となったそもそもの歴史、社会・経済、政治構造、近年の経済改革や経済運営の特殊性を本書で知り、さらに著者帰国後11 年にアジア経済研究所から上梓した『ビオレンシアの政治社会史-若き国コロンビアの悪魔払い』 http://latinamerica.jp/archives/5881 と合わせ読めば、以前のイメージとは大きく変容した現在のコロンビアを理解する上で極めて有益な解説書である。
      〔桜井 敏浩〕

(かまくら春秋社 2016 年4 月 195 頁 1,800 円+税 ISBN978-4-7740-0679-6 )

〔『ラテンアメリカ時報』2016年夏号(No.1415)より〕