『ブラジルの光、家族の風景 -大原治雄写真集』 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『ブラジルの光、家族の風景 -大原治雄写真集』

1927年に高知から家族とともに渡航、サンパウロ州のコーヒー農園で働いた後にパラナ州ロンドリーナに入植して1999年に亡くなるまで、日本に一度も帰ることなく70年余をブラジルで過ごした開拓農民が、家族と農作業、周囲の土地を撮り続けた2万数千点の写真の中からの選集。

1938年に小型カメラを入手して農器具とともに農地に出て作業の合間に撮影を始め、独自の研究で写真技術を磨き、1951年にロンドリーナ市街地に居を移してからはアマチュア写真家として積極的にフォトサロンに参加、やがて個展を開くまでに至った。

本書には、家族、農作業、農園の光景、親族・友人のポートレートや集合写真、後世写真クラブやサロンへ出品した芸術写真のうちからモノクロ写真だけが収録されている。実際には味わったであろう開拓農民の辛苦や第二次世界大戦下で日本人として受けた陰惨さは写っておらず、妻や9人の子供たち家族への愛情、作物の恵みを与えてくれる農地への敬愛を感じさせるすがすがしい写真ばかりである。

〔桜井 敏浩〕

(大原 治雄 影山千夏、セルジオ・ブルジ編集 サウダージ・ブックス 2016年4月 175頁 2,900円+税 ISBN978-4-907473-07-5 )