『世界遺産マチュピチュに村を創った日本人 -「野内与吉」物語-古代アンデス文明の魅力-』 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『世界遺産マチュピチュに村を創った日本人 -「野内与吉」物語-古代アンデス文明の魅力-』

1917年に福島県の大玉村からペルーへ農園の契約労働者として渡った野内与吉は、ペルー国鉄のクスコ~サンタ・アナ間鉄道で働き、23年に延伸なったマチュピチュ村に定住、勤勉と技術力、着想の良さで35年にはホテル・ノウチを開業、39年には村の行政官(後の村長)に任命された。第二次世界大戦の勃発、40年のペルーでの大規模な排日暴動発生、ペルーの宣戦布告に因って主要日系人指導者の米国送致など日系人圧迫の中でも村人に守られ、48年に前年の村に起きた大土砂崩れ災害の復興のために村長に任命され、尽力した。故郷の人々は50年前に村を出た与吉について、58年に三笠宮殿下がマチュピチュ遺跡を訪れた際に与吉の長女が関係の花束を贈ったという報道で消息を知る。68年に73歳にして帰国し大歓迎を受け引き留められたが、妻子の居るクスコに戻り69年に74歳で永眠した。この縁で、マチュピチュ村は2015年に大玉村と友好都市提携書を交わしている。

本書は、現在南山大学大学院で日本・ペルー交流史を研究している与吉の息子の一人の子、孫にあたるセサル良郎による与吉の生涯略史とその漫画化したものに、アンデス民族学・考古学の研究者達が書いたペルーへの日本人移民史に加えて、古代アンデス文明研究に関わった日本人とその発掘実績、アンデス文明の創造物や出土品などの簡単な解説を寄せ集め貼り合わせたもの。漢字にはほとんどルビを振ってあるが、文体は児童や日本語が不自由な人に配慮したとは言い難い。

〔桜井 敏浩〕

 

(野内セサル良郎・稲村哲也 2016年9月 131頁 1,500円+税 ISBN978-4-7753-1429-6 )