【ブラジル大使館】ブラジル・アルゼンチン核協力25周年 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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【ブラジル大使館】ブラジル・アルゼンチン核協力25周年

【ブラジル大使館】ブラジル・アルゼンチン両国政府は、今年、核エネルギーの利用
を平和目的のみとする両国間の「グアダラハーラ条約」(1991年7月調印)締結25周
年を迎えたことを記念し、以下の共同ステートメントを発表しました。ポルトガル語
版、スペイン語版、英語版は以下からダウンロードできます。
英語版
スペイン語版
ポルトガル語

ブラジル・アルゼンチン核協力25周年

2016年は核エネルギーを平和目的に限って利用することを定めてブラジルとアルゼン
チンの間で調印した「グアダラハーラ条約」の25周年の節目に当たる。この条約がも
たらした変革の一つとして「ブラジル・アルゼンチン核物質計量管理機関(ABACC)」
の創設が挙げられる。この管理機関は両国が核エネルギーの利用を平和目的に限って
求める事を疑う余地の無い形で確かめ、更には両国間で新たに創設した「共通計量管
理システム」を運営する役割を担うものである。

条約調印から数ヵ月後の1991年中に、両国はABACCと国際原子力機関(IAEA)を交えた
4者協定に調印した。これはブラジルとアルゼンチンが共通の代表団を通じて国際機
関と交渉を進める初めての経験だった。これを通じてブラジルとアルゼンチンの間で
戦略的な二国間関係を定める基本的な枠組が短期間で構築された。結果として、両国
間で現在も活き続ける平和、相互信頼、協力の関係が出来上がった。

両国が実践する外交活動の最優先課題の一つが二国間関係の推進である。従って両国
が多くの分野に於いて統合的な取り組みを進めることは当然の帰結である。両国の社
会はこの様な目標設定を好意的に受け止めており、その原因の大部分として、核の分
野で両国間協力の緊密化を目指した各種の決定の成功が挙げられる。

1970年代には幾つかの政治的な状況や歴史的な要因によって両国が互いに近づき、互
いに関係を緊密化することが阻まれていた。イタイプー水力発電所、コルプス水力発
電所の建設に関する意見の不一致、各々の核エネルギー開発計画がもたらす不信感が
地域内に不安の悪循環を生んでいた。

幸い、1980年代から始まった両国の再民主化プロセスを契機にブラジルとアルゼンチ
ンの間に横たわる相互認識のあり方に変化が生まれた。その結果として協力と地域統
合を特徴とするより広範囲な二国間関係の時代が幕を開けた。ブラジルのジョゼー・
サルネイ大統領とアルゼンチンのラウール・アルフォンシン大統領がこの様な変化を
主導した。両大統領の後継者達が関係改善プロセスの継続性を確保するために果たし
た役割も同じく重要だった。両国の科学者と外交官の深い関与を伴ったこの様な努力
の成果として「ブラジル・アルゼンチン核物質計量管理機関(ABACC)」の創設を実現
した。

両国間の協力プロセスを通じて、今日の我々は後顧の憂いなく技術の進歩、経済の成
長、社会の発展を目指して、平和目的に限った核開発に邁進する事が出来る。現在の
ブラジルとアルゼンチンは核開発活動の相互監視に限らず、両国間関係の戦略的な性
格の確立を目指す一連の事業に協力している。その具体例がブラジルの「多目的原子
炉」の建設計画とアルゼンチンの「RA-10原子炉」建設計画である。これ等は両国が
共同で取り組む象徴的な性格を備えた国家事業であり、医薬品産業の鍵を握る放射性
同位元素モリブデン99を地域内に供給する事を目指している。

原子核エネルギーは持続的な経済発展を実現し、人類が化石燃料への依存を軽減する
に当たって本質的な役割を果たす事実を常に念頭に置かなければならない。

「ブラジル・アルゼンチン核物質計量管理機関(ABACC)」と「共通計量管理システ
ム」の創設を通じ、両国の交渉担当者はこの政治的・外交的に過敏な領域で以前は思
いも及ばなかった斬新な取り決めを創り出す事に成功した。この取り決めを通じて現
在ではアルゼンチン側の核施設をブラジル側の査察担当官が査察し、反対にブラジル
側の核施設をアルゼンチン側の査察担当官が査察する様になった。ABACCはその創設
以来、IAEAと密接な協力関係を保ち、既に両国で2500件以上の査察実績を挙げてい
る。査察結果はインターネット上のウェブページに公表されており、現在ではIAEA理
事会にオブザーバーとして参加している。

この様な仕組が求める深い信頼感と、その運営が求める高い相互主義の度合いはブラ
ジルとアルゼンチンの間に存在する関係の特異性の裏付けである意外にも、この様な
関係が地域と世界に成し得る貢献の証左でもある。この仕組は安全保障と核不拡散に
関する規範的な合意と言える。現在では、この様な豊な経験は地球上の他の地域で発
生する行き詰まり状況を打開する為の前例または模範となり得る。

ABACCに関して我々が積み上げた経験は、外交活動を展開し、今までに無かった独創
的な制度を創設する事によって新たな次元の信頼感を醸し出せる事実を証明してい
る。「平和」とはより高次元な存在であるが、政治の世界では平和の存在を有効に活
用しなければ成らない。この様な戦略とこの様な平和志向に基づいてブラジルとアル
ゼンチンは互いを結ぶ友好と協力の絆を強化し続ける。この様な関係強化は核分野に
止まらず、各々の国の持続的な発展と社会の安寧に寄与するあらゆる分野に及ぶもの
である。

ジョゼー・セーハ
ブラジル連邦共和国外務大臣

スサナ・マルコーラ
アルゼンチン共和国外務・宗務大臣