『南に向かい、北を求めて -チリ・クーデタを死にそこなった作家の物語』 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『南に向かい、北を求めて -チリ・クーデタを死にそこなった作家の物語』

 著者はユダヤ系両親からブエノスアイレスで生まれ、チリで大学を出てチリ大学、米国で教鞭を取った後、1970年にチリでアジェンデ政権が発足すると文化補佐官として参画したが、73年9月の軍事クーデター勃発によりアルゼンチン大使館の保護を受け、以後欧州で亡命生活を送った作家。
 子ども時代からスペイン語と英語の世界を往還し、90年のチリの民政移管後もチリと米国の間を行き来していて、1960年代の米国での生活と73年の生命の危険の中にあったサンチャゴのアルゼンチン大使館での亡命生活と脱出の二つの時間、チリという南と米国という北、二つの言語世界を交互に回想し、生と死、政治と文学の背反を越えようともがき、アジェンデの社会主義政権の挫折に痛恨の念を持ち続ける作家の半生記。
                               〔桜井 敏浩〕

 (アリエル・ドルフマン 飯島みどり訳 岩波書店 2016年6月 500頁 4,700円+税 ISBN978-4-00-024880-8 )

  〔『ラテンアメリカ時報』2016/17年冬号(No.1417)より〕