講演会のご報告「ラテンアメリカにおけるエネルギー産業の展望」(2017年4月25日(火)開催) | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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講演会のご報告「ラテンアメリカにおけるエネルギー産業の展望」(2017年4月25日(火)開催)

【演題】ラテンアメリカにおけるエネルギー産業の展望
【日時】2017年4月25日
【場所】米州開発銀行アジア事務所
【講師】
①(独)石油天然ガス金属鉱物資源機構 (JOGMEC) 調査部 舩木弥和子 主任研究員
 「原油価格低迷への対応を探る中南米産油国」
② 一般社団法人 海外電力調査会 調査第二部 上嶋 俊一主任研究員
 「中南米主要国の電力動向」
【参加者】約50名

石油天然ガス金属鉱物資源機構 (JOGMEC)の舩木弥和子氏と、海外電力調査会の上嶋俊一氏をお迎えし、ラテンアメリカにおけるエネルギー産業の現状と今後の展望についてお話しいただきました。講演の要旨は以下の通りです。

①「原油価格低迷への対応を探る中南米産油国」
石油天然ガス金属鉱物資源機構 (JOGMEC) 調査部 舩木弥和子主任研究員

・ブラジルでは、1997年の新石油法制定によりペトロブラスの石油産業独占が終了したが、同社はその後もブラジルのエネルギー産業の中心的存在。カンポス盆地からサントス盆地、エスピリトサント盆地へと大規模油田の発見が続き、2006年には技術の進歩により岩塩層直下に位置するプレソルトで油田が発見された。プレソルト開発法の制定、石油生産量の伸び悩み、ペトロブラスをめぐる汚職等により油田開発が停滞する一方、テメル政権は頻繁に入札を実施し外資導入策をとっている。ペトロブラスの資産売却やパートナーシップ組成で大手石油会社の参入機会も増えている。
・ベネズエラは世界最大の埋蔵量を誇る有数の産油国だが、チャベス前政権以降の失策や原油価格の下落により探鉱・開発が停滞。サービス会社への支払い遅延、JVパートナーへの配当金支払い遅延等で、一部企業が撤退を余儀なくされている。増産を計画したオリノコベルト超重質油も生産減に陥り、生産計画の変更に迫られた。
・中南米では2000年代に急激な資源ナショナリズムの高まりがあったが、2014年頃からの原油価格下落で資源ナショナリズムが後退。ベネズエラ以外の国では契約条件緩和の流れがある。但し、このまま後退が続くかは不透明な状況。

②「中南米主要国の電力動向」
海外電力調査会調査第二部 上嶋 俊一 氏

・中南米主要国の電力資源は多種多様のポテンシャルを有するが、風力、太陽光、地熱等の再生可能エネルギー(再エネ)の成長が目立つ。
・ブラジルは、内陸部では水力発電が中心だが、東北沿岸部では風力を中心とした再エネが拡大している。今後はサンパウロやリオなどの需要地帯への送電系統の増強が課題。送電事業では中国企業(国家電網など)の進出が際立っている。引き続き、電源の多様化とブラジルコストが課題。自由市場での取引は地元に根差した営業力が大事。
・チリではサンティアゴを含む中央部は火力が58%、銅鉱山地帯を含む北部は97%と地域差がある。政府は2050年までに再エネ比率70%という長期目標を掲げている。太陽光はアタカマ砂漠を有する北部、水力は中部・南部、風力は南部とそれぞれで成長が期待される。最重要課題は北部と中央の連系線の建設だ。チリでは電源の入札制度の透明性は高いが、事業者が確実に落札できる保証はない。相対契約では、鉱山企業などの大口需要家との契約や地元産業界との連携が成功の鍵。
・米国のメキシコへのエネルギー投資は今後の両国政府の政策に大きく左右されるが、米国企業センプラ社は事業の継続拡大の方針を表明している。ペルーは火力の比率は66%だが風力の拡大が期待される。コロンビア政府は降雨不足時の補助として火力の増強を推進。アルゼンチンは2016年に再エネの入札を2回実施。2025年までに再エネ比率20%を目標に掲げている。また原子力発電も増強している。

 講演の後、出席者との間で活発な質疑応答があり、中南米各国の接収リスク、再エネが電力料金に与える影響、中国の大型投資の狙い等の質問にお答えいただきました。

【配布資料】
なお、本講演の説明資料はラテンアメリカ協会のホームページに掲載される(会員限定)

「中南米主要国の電力動向~電力需要と気候変動への対応~」(PDF)
一般社団法人 海外電力調査会調査第二部
上嶋 俊一氏 作成


(一社)海外電力調査会 調査第二部 上嶋 俊一氏

(独)石油天然ガス金属鉱物資源機構 (JOGMEC) 調査部 舩木弥和子氏