『ニーマイヤー 104歳の最終講義 -空想・建築・格差社会』 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『ニーマイヤー 104歳の最終講義 -空想・建築・格差社会』

1907年生まれのブラジルの建築家オスカー・ニーマイヤーは、1952年にフランスの建築家ル・コルビュジエとニューヨークの国連本部ビル、クビチェック大統領が着手を決定し、1950年代後半に師と仰ぐブラジルの建築家ルシオ・コスタが都市計画プランを描いた新首都ブラジリアの大統領官邸、三権広場、上下院議事堂、外務省、大聖堂など主要公共建築の設計を手がけた。1964年クーデターにより軍部が政権を握った際海外にいたが、帰国したものの1940年代から共産党員であったことから尋問を受け、結局以後長く外国生活を余儀なくされ、その間フランス、イタリアその他の国々で多くの優れた実績を挙げた。1985年の民政移管後帰国しリオデジャネイロを本拠に旺盛な制作活動を続け、生涯現役を貫いて2012年12月に104歳で亡くなった。
本書はイタリアの音楽評論家であり、ジャーナリストである編者が2012年1月から2月にかけて行ったインタビューに基づき纏めたもので、後半には編者による解説と編集ノートが付されている。
軍警察の尋問士官に「私は世界を変えたいのです」と言い切ったこと、建築は機能や使い勝手だけでは不十分で美に込められた詩が時間を超えて生き続けさせるという彼の建築についての考え、フィデル・カストロ、ル・コルビュジエなどの忘れられない先達たち、軍事クーデター以前のアルジェリアやブラジルのベロオリゾンテでの仕事、104歳になっての回顧と達観が語られ、20点の彼の設計、デザインした建造物やインテリアの写真とともに、この20世紀に卓越した偉大な建築家の足跡と思想の一端を窺わせてくれる。

〔桜井 敏浩〕

(オスカー・ニーマイヤー 、アルベルト・リヴァ編  阿部雅世訳 平凡社 2017年5月 94頁 1,400円+税 ISBN978-4-582-54458-9 )