『植民地化の歴史 -征服から独立まで/十三~二〇世紀』 マルク・フェロー | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『植民地化の歴史 -征服から独立まで/十三~二〇世紀』 マルク・フェロー

 植民地化は、欧州以外でもはるか以前からギリシャ・ローマ、中国、アラブ人、トルコ人等が行い、現在もなお過去の帝国主義という支配形態に因る植民地化が、旧ソ連領の民族紛争、シリアの内戦などでの暴力の連鎖に繋がっている。本書は世界のそれぞれの歴史に登場する時点からさまざまな征服・領土分割・敵対、ある民族の性質、その民族が歴史に登場・消滅する経緯を描いている。植民する側の宗主国であるこれまでの欧州中心の視点だけに陥ることなく、欧州以外の諸国の植民地化現象と付き合わせ、隷属下におかれた様々な民族の側にも目を向け、数百年におよぶ世界の植民地化を比較、検証した大部な歴史解説書。
 ラテンアメリカについては、ポルトガル人によるアフリカからインド進出、それに対抗するスペイン人征服者、アメリカ大陸におけるメスティーソ(混血)の増加、黒人奴隷、英印混血、植民地生まれのクレオールによるあらたな人種社会の誕生をたどり、侵略者が先住民に負わせた心的外傷、ラス・カサス神父等による植民される側の擁護、旧世界からの侵攻者によってもたらされ虐殺とともに壊滅的な被害をもたらした伝染病、一方で逆に新世界から伝わった梅毒などの「病気の交換」、征服による儀礼時の飲酒の習慣化や社会共同・共有システム、伝統の破壊、それに抵抗する先住民の叛乱、欧州から入植した者たちの既得権擁護のための抵抗とその子孫(クレオール)による独立運動などを、世界史の中で俯瞰している。そして第二次世界大戦後にアジア、アフリカ、そしてラテンアメリカで起きた独立運動、革命(ペルーでの「センデーロ・ルミノーソ」の運動にも言及している)の闘いにより、解放・脱植民地化が世界各地でどのように進展したかを考察している。
                                〔桜井 敏浩〕

(片桐祐・佐野栄一訳 新評論 2017年3月 634頁 6,500円+税 ISBN978-4-7948-1054-9 )

 〔『ラテンアメリカ時報』2017年夏号(No.1419)より〕