『パタゴニア』  ブルース・チャトウィン | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『パタゴニア』  ブルース・チャトウィン

 東西冷戦の最中、核戦争による死の灰から一番安全なところとしてパタゴニアを選び訪れるべくアルゼンチンに旅し、ブエノスアイレス、ラプラタ、そしてパタゴニアの砂漠を前控えた最後の都市バイアブランカを経てパタゴニアに入る。あちこちの町村や人家を辿ってそこに住む人たちとの語りと過去のパタゴニア旅行者や入植者の行動や出来事の回顧の挿話が行き来するが、これらがパタゴニア開拓時代と現代の世相や人々の言動、自然と人間の営みを語っていて実に面白い。
 チャトウィンは1940年にイングランドに生まれ48歳でエイズによって亡くなるまで、南米、西アフリカ、オーストラリア等を歴訪し、トラベルライターとしては屈指のパタゴニア通で、『パタゴニアふたたび』というポール・セルーとの共著(白水社 2015年 http://latin-america.jp/archives/22677 )もあり、そのほか西アフリカのダオメー(現ベナン)のウイダに赴いたブラジル人奴隷商人一族の栄光と蹉跌を描いた歴史小説『ウィダの総督』(めるくまーる 1989年。新訳『ウイダーの副王』白水社 2015年)もある。
                               〔桜井 敏浩〕

(芹沢真理子訳 2017年9月 河出書房新社(文庫) 390頁 1,200円+税 ISBN978-4-309-46451-0)

 〔『ラテンアメリカ時報』2017年秋号(No.1420)より〕