ラテンアメリカ協会主催 海外セミナー 「日本メキシコ関係–変化する政治環境での共通基盤を求めて」(2017年10月17日 メキシコ市) | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
Japanese English

ラテンアメリカ協会主催 海外セミナー 「日本メキシコ関係–変化する政治環境での共通基盤を求めて」(2017年10月17日 メキシコ市)

2017年10月17日に、ラテンアメリカ協会(JALAC)と米国インターアメリカン・ダイアログ(Inter-American Dialogue, IAD)は、メキシコ国際問題協議会(COMEXI(#1))、メキシコ国際企業連盟(COMCE(#2) )および在メキシコ日本国大使館との共催で、ランチョン・セミナーをメキシコ市にて開催し、日本とメキシコを始めとするラテンアメリカ諸国との長期的関係の発展について議論しました。インターアメリカン・ダイアログとの共催セミナーは2015年(ワシントンDC)、2016年(東京)に続く3回目となります。

【講演の様子のビデオ】(YouTube) https://youtu.be/YbyoBVCcz_c

アジアと米州を取り巻く不確実とも言える現下の政治経済情勢は、日本、メキシコ双方にとって新たな課題をもたらしています。米国におけるトランプ政権の発足、それを契機としたNAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉により、メキシコは貿易等の連携相手の再考に迫られています。日本もまた、米国のTPP(環太平洋連携協定)からの離脱決定に基づき、TPPや他の地域連携の方向性について検討を進めています。こういう情勢とタイミングの中で開催された本セミナーに対しメキシコ側の関心は高く、参加者が100名を超える盛況振りとなりました。

開会挨拶に立った高瀬寧在メキシコ日本国大使は、2012年のEPA(経済連携協定)締結以降、日本・メキシコ間の貿易額は83%伸びるなど、両国の経済関係は着実に前進している、日系進出企業総数も過去5年で1,100社以上に倍増し、当面、ある程度の調整期間は予想されるものの、投資先としてのメキシコの重要性は基本的に変ることはなく、将来に亘って好調な投資が期待できる、と発言しました。

基調講演を行ったメキシコ経済省アジア太平洋・多国間機関局のマリア・クリスティーナ・エルナンデス局長(#3) は、不透明な全体情勢にもかわらず、メキシコと日本の両国関係は地域経済の安定と持続性を支える源泉になると強調しました。

基調講演に続いて、インターアメリカン・ダイアログのマイケル・シフター会長がモデレーターを務め、パネリスト4名によるパネルディスカッションが行われました。本パネルでは、日本、メキシコ両国のグローバル・パートナーシップの強化が進展するとの見方から、今後数年で二国間関係はさらに拡大する可能性が高いとの意見で一致しました。パネリストの一人、外務省中南米局の中前隆博局長は、日本とラテンアメリカの外交関係の「画期的な進展」と、アジアとラテンアメリカの橋渡しとしての日本の役割を強調しました。その背景として、局長は過去3年連続の安倍首相のラテンアメリカ歴訪に加え、内閣官房における省庁間調整部署の対ラテンアメリカ関係重視の姿勢が大きく寄与していると説明しました。

国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC) のホルヘ・マリオ・マルティネス通商産業部長と浜口伸明神戸大学経済経営研究所教授はともに、NAFTAの将来性がはっきりしない中でも、自動車産業にとり投資先としてのメキシコの魅力は変らないとの意見を表明しました。また、マルティネス部長は、自動車産業の近代化に向け、テクノロジーやエネルギー資源などのそれぞれの強みを生かした日本・メキシコ間の二国間協力の可能性を指摘しました

パネリストからはさらに、今後数年にわたるとも予想される多国間貿易協議での米国のリーダーシップ不在の間、日本、メキシコ両国が中心となり、太平洋同盟のようなサブ・リージョナルな地域統合など既存の協定の活性化を進める、ないしは、新たな貿易連携の組成などの統合努力を払うべきだといった意見が展開されました。米国ブルッキングス研究所のミレヤ・ソリス日本部長は、「経済ナショナリズムの勢い」を抑えるためにも、TPP11に新たな参加国を加えた、次世代版「TPP 2.0」の実現を目指し、日本がリーダーシップを発揮すべきだと指摘しました。

他のパネリストの間からも、TPPで検討されたサプライチェーンの機能性確保のためのルール作りなど、貿易自由化の前進を図る上で特に日本の立場は重要であるとの、わが国の積極的な役割を期待する声が上がりました。特に、TPP11が実現すれば、そこに盛り込まれるルールは一つの先行モデルとして、日本、ASEAN諸国のほか、中国、韓国、インドも参加して検討が行われているRCEP(東アジア地域包括的経済連携)などの他の地域統合の実現の助けになるばかりでなく、延いては、アジア経済圏とラテンアメリカ経済圏との更なる統合拡大に道を開くとの意見が表明されました。


  1. Consejo Mexicano de Asuntos Internacionales
  2. Consejo Empresarial Mexicano de Comercio Exterior, Tecnología e Inversión
  3. 同局長は10月30日から千葉で行われたTPP11の首席交渉官会合にメキシコ代表として参加した。

なお、本海外セミナー開催に当たっては、以下7社から総額 18,000ドルの協賛を頂きました。
ここに記して感謝の意を表します。


三菱商事

MACFSMBCMITSUMARU
ANA

フジタ東京海上

後援

メキシコ日本商工会議所



高瀬寧 在メキシコ日本国大使

メキシコ経済省アジア太平洋・多国間機関局のマリア・クリスティーナ・エルナンデス局長

(左より)
中前外務省中南米局
マルティネスECLAC通商産業部長
浜口神戸大学教授
ミレヤ・ソリス・ブルッキング研究所日本部長
マイケル・シフターIAD会長