『抵抗と創造の森アマゾン -持続的な開発と民衆の運動』 小池 洋一・田村 梨花編著 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『抵抗と創造の森アマゾン -持続的な開発と民衆の運動』 小池 洋一・田村 梨花編著

 地球温暖化、異常気象の深刻化への危機感をもった編者が、世界の森林資源減少の約3分の1を占めるアマゾン地域の環境問題への関心を呼び起こしたいと、アマゾンに暮らす先住民や農民等民衆の様々な領域での開発に対する抵抗運動を紹介し、自然と共生して持続可能な開発を模索する姿に寄り添おうという意図で編まれた11本の論集。
 森林の破壊や生物多様性の減少を引き起こすアグリビジネスの発展の一方で自然と共生する農業開発「アグロエコロジー」、森の恵みを享受しながら森を守る採取経済と森を守る運動、日系移民による人と森の共生農業「アグロフォレストリー」、開発が急速に進む支流シングー川流域で持続可能な開発を試みる先住民社会とそれを支援する日本のNGOの活動、渇水による電力不足で建設が促された世界第4位の発電規模をもつことになるベロモンテ水力発電所建設計画により生活を危うくされる先住民の抵抗運動の軌跡、大土地所有者に対して執筆者が社会的再生手段と見る土地を持たない人々による未利用地の占拠運動、先住民や貧困コミュニティと連携して伝統工芸を開発しデザインによって価値を高めるソーシャルデザイン活動、アマゾンの生産物の公平な価格での取引実現によって生産物の向上と創造を可能にするためのフェアトレード、開発によって急速に進んだ都市化の過程で形成された貧困地域の子どもたちの生活変容に対して支援するために生まれた民衆組織とNGOによる市民教育、そして日本人が指導する「森を活かして森を守る」ためにアグロフォレストリーや植樹等を推進している運動などを、研究者や長く活動してきたNGO活動家、ジャーナリストが紹介している。
                                〔桜井 敏浩〕

 (現代企画室 2017年11月 334頁 2,700円+税  ISBN978-4-7738-1722-5 )