『ハイチとドミニカ共和国 -ひとつの島に共存するカリブ二国の発展と今』  山岡 加奈子編 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『ハイチとドミニカ共和国 -ひとつの島に共存するカリブ二国の発展と今』  山岡 加奈子編

 1492年のコロンブスの西インド諸島到達に始まるスペイン人のカリブ海地域植民地化の最初の拠点となったイスパニョーラ島に、中南米で最貧国のハイチと近年経済成長が著しく中心国になろうとしているドミニカ共和国がある。なぜここにこの2つの国があるのか? 社会経済構造や政治体制、大国の介入など共通点が多く、1950年代まで似たようであった両国が、その後かくも社会経済的な発展度合いが対照的になったのかを、開発を長期的発展経路と分岐から比較し、ハイチには現在なお政治的不安定性と「貧困の罠」から抜けるための政治・経済体制合意がないこと、両国の統計資料の分析からハイチの停滞、人々の生活社会・福祉政策の違いによる貧困の度合いや福祉政策の違いがあることを明らかにし、両国が並立存在するに至った歴史的経緯および米国との移民問題、麻薬問題、国際援助、そしてハイチからの移住者の増加から生じているドミニカでのレイシズムと反ハイチ主義を解析し、最後に各章で検証した議論をまとめて今後の研究課題について考察している。
 同じ島にありながら、政治・経済的におおきく異なる2つの国を歴史的、政治的、経済的に比較し解き明かした、興味深い中南米地域研究。
                               〔桜井 敏浩〕
 (アジア経済研究所 2018年3月 200頁 2,500円+税 ISBN978-4-258-29048-2)
 
 〔『ラテンアメリカ時報』2018年春号(No.1422)より〕