『イコンとしてのチェ・ゲバラ <英雄的ゲリラ>像と<チェボリューション>のゆくえ』 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『イコンとしてのチェ・ゲバラ <英雄的ゲリラ>像と<チェボリューション>のゆくえ』

 世界的に出回っている星の記章の付いた黒いベレー帽を被った髭ずらのゲバラの肖像は、キューバ革命政権の機関誌『レボルシオン』(後の『グランマ』)カメラマンであった通称コルダが1960年にサルトルとボーヴォワールがハバナ訪問の際に偶然に撮影したものだが、1年後に『レボルシオン』でのゲバラの講演放映告知用案内に小さく使われたのを契機に実に多くの加工や画像処理、絵画化され、「世界で一番有名な肖像写真」となったが、生涯コルダはこの写真から著作権使用料を得たことはなかった。
 本書はこの写真が撮られ、世界中の人々の脳裏に焼き付いた顛末を、ゲバラがキューバ革命後にボリビアに渡り1967年にゲリラ活動中に捕らえられて処刑され、その遺骸が97年に発掘されるまでの数奇な運命、英雄が愛した乗り物、スポーツ、生涯悩まされた持病の喘息、愛用品などから見る人物像、いわば「イコン」のように「英雄的ゲリラ」像に託された欧米、ラテンアメリカでの「ゲバラのイコン」の意味を考察し、一つのイコンが廃れてはまた世界のどこかで新たなチェ・ゲバラが生成されるという終わりなき連鎖は、広い意味での「革命」への願望にゲバラのイメージを必要とした/必要とする人々の終わりなき物語でもあるとしている。
(加藤神奈川大学教授は、ALSとの闘病の中で本書を纏められましたが、2014年4月22日に逝去されました。謹んでご冥福をお祈りします。)
〔桜井 敏浩〕
〔『ラテンアメリカ時報』2014年夏号(No.1407)より〕

(加藤 薫 新評論 2014年2月 179頁 2,200円+税)