『ペルソナ・ノン・グラータ -カストロにキューバを追われたチリ人作家』 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『ペルソナ・ノン・グラータ -カストロにキューバを追われたチリ人作家』

 チリの外交官にして作家である著者は、アジェンデ政権からキューバ代理公使に任命され、1970年12月から翌年3月までハバナに駐在した。有数の名家出身でいわば“チリを代表するブルジュワ一族”であるが、左派政権から派遣された外交官でありながらカストロ体制の影の部分に批判的になり、体制に忠実でない者たちとの交流もあったことから、キューバ政府からあたかも“ペルソナ・ノン・グラータ(外交上好ましくない人物)”として何かと目を付けられ、非協力的な対応をされる。
カストロやゲバラ等の忌憚の無い人物評、各国外交官や作家仲間の人間模様、キューバの経済政策の行き詰まりや社会の分析、さらには73年に軍事クーデタで倒されることになるアジェンデ政権の崩壊につながる内情、カストロの気に入らない作家への抑圧などが、著者の目から克明に記録されている。クーデタ勃発で加筆した原著の初版は1973年10月。
〔桜井 敏浩〕
〔『ラテンアメリカ時報』2014年夏号(No.1407)より〕

(ホルヘ・エドワーズ 松本健二訳 現代企画室 2013年9月 464頁 3,200円+税)