『メキシコのゆくえ -国家を超える先住民たち』 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『メキシコのゆくえ -国家を超える先住民たち』

 著者は1972年以来、メキシコのオアハカ州先住民ミヘの調査を続けてきた文化人類学者。第1章ではメキシコ国立先住民庁(1948~2003年)の政策形成と実施、批判、政策の破綻と90年代のサパティスタ国民解放軍の蜂起以降の制度的破綻と消滅を、第2章では国勢調査と国立統計地理情報院の先住民分類、人口把握と、国立人類学博物館での先住民文明の展示姿勢に対する問題提起を、第3章ではミヘ社会の70年代と90年代のグローバル化にともなう社会・文化面でのミヘ社会の変化を、第4章はカトリック教会とプロテスタントの対立の背景と現状を、第5章ではメキシコ革命後のミヘの民族運動を、第6章ではオアハカ州の先住民の国内、国外への移動事例を考察している。第7章ではさらに進んで,国民国家メキシコと先住民、移民、メキシコ系米国人などの周縁的人口との関係を損じ、メキシコと米国国境の南北に分散していることによるトランスナショナルな文化空間形成を論じ、メキシコ先住民とメキシコ系米国人集団は20世紀末以降は移動により同一線上に収斂されていると指摘している。
〔桜井 敏浩〕
〔『ラテンアメリカ時報』2014年夏号(No.1407)より〕

(黒田 悦子 勉誠出版 2013年7月 240頁 3,200円+税)