【季刊誌サンプル】ロペス・オブラドール政権6 年間の評価 —その成果と残された課題 高橋 百合子(早稲田大学 准教授) - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

【季刊誌サンプル】ロペス・オブラドール政権6 年間の評価 —その成果と残された課題 高橋 百合子(早稲田大学 准教授)


【季刊誌サンプル】ロペス・オブラドール政権6 年間の評価 —その成果と残された課題

高橋 百合子(早稲田大学 准教授)

本記事は、『ラテンアメリカ時報』2024年秋号(No.1449)に掲載されている、特集記事のサンプルとなります。全容は当協会の会員となって頂くか、ご興味のある季刊誌を別途ご購入(1,250円+送料)頂くことで、ご高覧頂けます。

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ロペス・オブラドール政権6年間の評価 ―その成果と残された課題 高橋 百合子(早稲田大学 准教授)

はじめに
メキシコでは2024 年6 月2 日に実施された連邦選挙では、国家再生運動(MORENA)、労働党(PT)、緑の党(PVEM)から構成される与党連合「歴史を作り続けよう」が圧勝した。これにより、ロペス・オブラドール(AMLO)大統領政権が実現を目指した「第4 の変革」は、AMLO の忠実な腹心とみなされるクラウディア・シェインバウム率いる次期政権へと引き継がれることとなった。
AMLO が掲げた「第4 の変革」とは、19 世紀初頭のメキシコ独立、19 世紀半ばの自由主義改革(レフォルマ)、20 世紀初頭のメキシコ革命以来続いた体制からの大変革であり、とりわけ、1980 年代以降に進められた新自由主義にもとづく政策を抜本的に見直し、より人民主義もしくは社会主義的な政策への変換である(内山 2020; 豊田 2019)。「第4 の変革」が目指すものは、治安の改善、貧困・格差の是正、既得権益を享受するエリートによる汚職撲滅であり、緊縮財政を敷くことにより財源を確保し、汚職の撲滅と貧困層へ利益をもたらす社会政策の拡充を目指す。AMLO は、2018 年12 月1 日の大統領就任演説で、こうした目標を実現するための「100 の約束」に取り組むことを宣言した。こうした約束の79 項目が、就任から一年以内に実現されたことが、第1 次政府年次報告書に述べられている(内山 2020)。さらに、シェインバウムは、「第4 の変革」を深化させるため、変革の「2 階部分」を建設することを宣言した。
それでは、AMLO 政権の実績は、メキシコの人々からどのように評価されているのだろうか。「第4 の変革」の実現に向けて、AMLO は実際に、どのような政策を行ったのであろうか。そして、どのような課題が、残されているのだろうか。本稿は、AMLO政権が2019 年7 月に発表した「国家開発計画2019–2024」、および2024 年9 月1 日に発表された第6 次政府年次報告書を参照しつつ、AMLO 政権の成果と課題について考察する。

AMLO 政権への支持率の推移
図1 は、AMLO 政権に対する支持・不支持の変化を、政権が発足した2018 年12 月から、終了した2024 年9 月までの期間について表したものである。政権発足直後には、80%を超える高い支持率を記録した後、政権半ばには支持が50%台まで低下したものの、一貫して支持が不支持を上回っている。さらに、政権