【季刊誌サンプル】中米諸国はどこに向かうのか ―共通性と多様性 笛田 千容(駒澤大学 准教授) | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

【季刊誌サンプル】中米諸国はどこに向かうのか ―共通性と多様性 笛田 千容(駒澤大学 准教授)


【季刊誌サンプル】中米諸国はどこに向かうのか―共通性と多様性

笛田 千容(駒澤大学 准教授)

本記事は、『ラテンアメリカ時報』2025年春号(No.1450)に掲載されている、特集記事のサンプルとなります。全容は当協会の会員となって頂くか、ご興味のある季刊誌を別途ご購入(1,250円+送料)頂くことで、ご高覧頂けます。

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中米諸国はどこに向かうのか ―共通性と多様性 笛田 千容(駒澤大学 准教授)

はじめに
本誌において、中米諸国からなる「地域」を対象に特集が組まれるのは、前回の日・中米交流年の機を捉えて企画された2015年夏号(「中米・カリブのいま」)以来、実に10年ぶりである。そこで本稿では、過去10年を中心に、中米統合機構(SICA)加盟8か国の政治、治安、経済、外交にどのような変化が生じている(あるいはいない)のか、4つの視点から検討を試みることで、続く各論への導入としたい。

二極化する民主政治の「質」
まず、中米諸国の民主政治の現状を整理しておこう。「民主主義の多様性(V-Dem)」 研究所は毎年、世界の国々の政治状況を、4つの段階に分類し評価している。4つの段階とはすなわち、より質の高い民主主義的価値を実現している①自由民主主義(LD)、民主政治の基本的条件は満たしている②選挙民主主義(ED)、民主政治を装った③選挙権威主義(EA)、そして民主政治を放棄した④閉鎖的権威主義(CA)である。加えて「選挙民主主義寄りの選挙権威主義」「閉鎖的権威主義寄りの選挙権威主義」といった中間状態は「EA+」「EA–」のように、プラス・マイナスの記号を付けて示される。

表1は、2007年、および2017年から2024年ま