【季刊誌サンプル】新時代を迎えるグアテマラのビジネス・ポテンシャル 桑名 良輔(在グアテマラ大使) | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

【季刊誌サンプル】新時代を迎えるグアテマラのビジネス・ポテンシャル 桑名 良輔(在グアテマラ大使)


【季刊誌サンプル】新時代を迎えるグアテマラのビジネス・ポテンシャル

桑名 良輔(在グアテマラ大使)

本記事は、『ラテンアメリカ時報』2025年春号(No.1450)に掲載されている、特集記事のサンプルとなります。全容は当協会の会員となって頂くか、ご興味のある季刊誌を別途ご購入(1,250円+送料)頂くことで、ご高覧頂けます。

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新時代を迎えるグアテマラのビジネス・ポテンシャル 桑名 良輔(在グアテマラ大使)

はじめに
日本とグアテマラの両国は、本年(2025年)外交関係樹立90周年を迎えている。4月から開催される大阪・関西万博にはグアテマラも参加する予定であり6月9日のグアテマラ・デーにはアレバロ大統領の参加も計画されている。本稿では、グアテマラの政治経済の概況を見た上で、アレバロ政権の成立によりグアテマラが新時代を迎える中で、特に日本との関係においてどのようなビジネス・ポテンシャルがあるかについて論じたい。
アレバロ政権という国民の幅広い支持を得た本格政権が誕生し、反汚職、貧困対策、格差是正といった長年の課題の解決に取り組んでいる。グアテマラは、ようやく米国、メキシコとの近接性、堅調なマクロ経済、若い人口構成といった当国のアドバンテージを享受できるようになっており、従来から有望視されてきたニア・ショアリングの文脈での投資促進、膨大なインフラ需要や豊富な観光資源の活用等様々なビジネス・チャンスが存在する。
本稿が、日本の皆様に何らかの示唆を与え、今後の日グアテマラ関係の発展のための一助となれば幸いである。

グアテマラ概況
グアテマラは、中米の北端にあってメキシコと国境を接する。日本の3割程度の国土に約1800万人が居住する。マヤ系を中心に多様な先住民(22言語)が国民の半分近くを占める。ラテンアメリカではトップの出生率(女性1人あたり約2.5人)を保ち10年後には人口が2000万人に達する等、人口ボーナスが期待できる若い国(平均年齢約28歳)である。経済規模は約1000億ドルで、中米地域では人口、GDP共に最大(ラテンアメリカ全体ではそれぞれ7位と10位)である。これに加えて米国内に350万人のグアテマラ移民がいるとされる。

歴史的経緯
グアテマラは中米において長年反共の砦的な位置を占めてきた。1950年代から80年代までは軍政が続き96年に和平合意が成立するまで36年間にわたり内戦が続いた。以降も保守派政権が続いたため、小さな政府で健全財政である一方、社会支出が少なく貧困、格差、インフラ不足が長年の課題であり、近年では汚職や治安悪化が社会問題として加わった。また、上述の背景から国内各勢力間の分断が見られ、先住民と非先住民、右派と左派だけでなく、一部先住民部族間の対立もあり国民の融和も社会的課題となっている。

政治情勢
96年の和平合意以降は文民政権が続き、概ね選挙による正常な政権委譲が行われているが、当国政治経済は富裕層と伝統的政治勢力の影響が強いとされる。特に近年は汚職や政敵の訴追等政治的意図に基づく司法戦が頻発し政治に対する信頼が揺らいできた。こうした中、一昨年(2023年)の大統領選挙では、当初は有力候補ではなかったベルナルド・アレバロ候補が急速に頭角を現した。同候補は、各種改革を成し遂げたフアン・ホセ・アレバロ大統領(1945〜1951年)の子息であり、清廉なイメージと汚職対策や貧困撲滅といった政策を掲げて先住民、若者を含む幅広い国民の支持を集めた。第1回目投票で2位となり決選投票では支