【季刊誌サンプル】魅力あふれる「湖と火山の国」ニカラグア ―フロンティア・スピリッツを掲げ、その大地に目を向けろ 荻野 正裕(在ニカラグア大使) | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

【季刊誌サンプル】魅力あふれる「湖と火山の国」ニカラグア ―フロンティア・スピリッツを掲げ、その大地に目を向けろ 荻野 正裕(在ニカラグア大使)


【季刊誌サンプル】魅力あふれる「湖と火山の国」ニカラグア ―フロンティア・スピリッツを掲げ、その大地に目を向けろ

荻野 正裕(在ニカラグア大使)

本記事は、『ラテンアメリカ時報』2025年春号(No.1450)に掲載されている、特集記事のサンプルとなります。全容は当協会の会員となって頂くか、ご興味のある季刊誌を別途ご購入(1,250円+送料)頂くことで、ご高覧頂けます。会員となるメリットとして、『時報』の無料送付、協会が催すオンライン方式を含む講演会・ワークショップ・ラウンドテーブル等への優先・割引/無料参加、わが国随一のラテンアメリカ・データベースから資料の閲覧・ダウンロードが可能になります。

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魅力あふれる「湖と火山の国」ニカラグア ―フロンティア・スピリッツを掲げ、その大地に目を向けろ 荻野 正裕(在ニカラグア大使)

はじめに
ラテンアメリカ(中南米)に詳しい『ラテンアメリカ時報』の読者の方々でも、ニカラグアをよくご存じの方は多くないのではないだろうか。私自身、外務省で働きはじめて38年になるが、昨年(2024年)10月に大使としてニカラグアに赴任するまで、ニカラグアとの関わりは限られていた。恥ずかしながら、約30年前に一度出張しただけである。しかし、実際に赴任してみると、歴代の日本大使やマナグア駐在経験を有する外務省の同僚職員が口を揃えて「中南米地域でも、とりわけ親日的な国で楽しい勤務だった」と言っていたように、非常に魅力的な国である。現在、マナグアに駐在する他国の大使の多くも「ニカラグアの人々は優しいし、緑あふれる美しい風景が国中に広がり、食事もおいしく過ごしやすい」と述べている。

他方、第2次トランプ米国政権の登場により、DR-CAFTA(米国・中米・ドミニカ共和国自由貿易協定)からのニカラグアの除外や制裁強化の可能性が指摘され、ニカラグアの先行きには暗雲が立ちこめている。米国はニカラグアの貿易相手国として圧倒的な存在であり(2024年の輸出に占める米国の割合は48.4%、輸入に占める割合は24.1%で共に第1位。出典:ニカラグア勧業・産業・通商省)、短期的な投資環境は残念ながら望ましいとは申し上げられない。しかし、中長期的には、さまざまな分野で日本との経済関係を強化できる可能性を有している。本稿では、そんなニカラグアの魅力を紹介したい。なお、以下のコメントは執筆者の個人的な見解であり、外務省を代表するものではない。

湖と火山の国、地熱発電は大きな可能性
ニカラグアは「湖と火山の国」と言われている。実際、多くの活火山が国中に点在し、コシボルカ(ニカラグア)湖(琵琶湖のおよそ13倍で、中米最大の湖)をはじめたくさんの湖が火山に寄り添っており、風光明媚な国である。首都のマナグア市を南方の高台から見渡せば、緑豊かなマナグアの先に(水質汚染という問題は抱えているが)ソロトラン(マナグア)湖(ニカラグア第2位の大きさ)が広がり、その先には富士山によく似たモモトンボ火山が煙をたなびかせ、「インスタ映え」する風景を眺めることができる。火山が多いということは、地熱発電に大きな可能性を有していることを意味している。この点は国際協力機構(JICA)の調査(ニカラグア・ホンジュラス電力プロジェクト選定確認調査)でも指摘されている。さらに、ニカラグアの火山は街からアプローチしやすいという特色があり、開発難易度も他地域と比べて高くないと思われる。