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【ラテンアメリカ・カリブ研究所レポート】Mikio Kuwayama, “Pacific Alliance: A Latin American Version of Open Regionalism in Practice” (「ラテンアメリカで『開かれた地域主義』に基づいて経済統合を推進する太平洋同盟」)

本報告書は、ラテンアメリカ協会の桑山幹夫常務理事が2019年3月に神戸大学経済経営研究所(RIEB)のDiscussion Paper Series (DP 2019-02) において発表した“Pacific Alliance: A Latin American Version of Open Regionalism in Practice” (原文は英語、邦訳:「ラテンアメリカで『開かれた地域主義』に基づいて経済統合を推進する太平洋同盟」)である。以下は、その要旨(ABSTRACT)の邦訳である。

本稿では、設立以来8年となる太平洋同盟(PA)が世界から高い評価を受けているのは、同機構が実用的、進歩的、参加型であり、そしてコンセンサスを重んじる「開かれた地域主義(オープンリージョナリズム:OR)」という理念に基づいてラテンアメリカの地域統合を進めてきたことに起因していると説明している。PAを司る地域統合の概念は、ラテンアメリカの特殊性を考慮しつつ、国際経済から生じる新たな課題と機会によって修正され、適応してきた。

PAによるORは、従来のORの概念のように、自由化、貿易円滑化、経済・技術協力を重視するだけでなく、次世代の貿易および投資問題のニーズに対応するために必要な地域レベルでの開発能力の構築に焦点を当てる。優先される事項の中には、グロバル・バリューチェーンへの企業(特に中小企業)参加、市場主導型のイノベーション政策、21世紀に相応しい貿易円滑化、「質の高い」インフラ整備などが含まれる。

また、PAは「市場主導型」と「政策主導型」との二つ統合形態の間に相乗効果を高めるのに役立つ統合様式を進めている。 PAの原加盟4か国は、ORによって特徴付けられる開発ビジョン並びに経済自由化が開発協力によって補完されるべきだという認識を共有しながら、生産性の向上、競争力の強化、インクルーシブで持続可能な成長を目指す。

したがってPAは、「南米諸国連合」(UNASUR)、「南米南部共同市場」(Mercosur)、「米州ボリバル同盟」(ALBA)などのイデオロギー的な色彩が強いラテンアメリカの地域統合構想とは一線を画すものである。

PAは、ラテンアメリカでより統合された市場を創造するために、メルコスールとの貿易・投資関係の合理化を図っているのである。

ファイル名(File Name) Kuwayama-DP2019-02.pdf
ファイル容量(File Capacity) 989 KB
バージョン(Version) 1
作成日(Published) 2019年3月23日
ダウンロード回数(Downloaded Numbers) 269 回
カテゴリ(Category) ラテンアメリカ・カリブ研究所レポート
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