『海の光のクレア』  エドウィージ・ダンティカ  | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『海の光のクレア』  エドウィージ・ダンティカ 

著者は、ハイチに生まれニューヨークのハイチ人社会で育ち、米国で大学・大学院卒業。ラテンアメリカの最貧国にあって過酷な条件の下で生き抜く女性たちの心理を描いた小説を次々に発表しており、日本語にもすでに8冊ほど訳されている。

少女クレアは生まれて間もなく死亡し、男手ひとつでクレアを育ててきた漁師の父ノジアスは貧しさゆえにクレアをある資産家女性の家族に引き取ってもらおうとする。2010年にハイチを襲った未曾有の大地震の前のクレアの 7歳の誕生日の朝からその日の夜までの一日を、過去と現在、クレアの住む町の幾人かの人たちの営み、資産家女性の夫と子などを交叉させながら描いている。生と死と喪失がつきまとう海に囲まれた町だが、丘の上の灯台が暗い海を行く船を光で導くように、クレアたちを絶望で終わらせないことを暗示させる、美しい小説。

〔桜井 敏浩〕

(佐川愛子訳 作品社 2015年1月 274頁 2,400円+税 ISBN-978-4-86182-519-4)