『決定の本質 キューバ・ミサイル危機の分析 第2版 Ⅰ・Ⅱ』 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『決定の本質 キューバ・ミサイル危機の分析 第2版 Ⅰ・Ⅱ』

1962年10月16日から28日までの13日間に起きたソヴィエト連邦がキューバと交渉してミサイルを配備しようとし、これに反発した米国と核戦争の崖っぷちまで行った危機については、すでに多くの研究書が出ている。71年に出たアリソンによる初版は長く多くの研究者や学生に読まれてきたが、その後30年間に公開された数多くの新しい史料や証拠を取り込み、本書の根幹を成す3つのモデルに対する関連分野の専門家による批判に応えて精緻化して1999年に出した改訂版。

外交政策を実践する国家を「合理的アクター」として一つの纏まった人格であるが如くみるこれまでの見方を第一モデルとし、政府のような大きな「組織行動」を組織過程の所産として捉える第二モデル、「政府内政治」と名付けた第三モデルは大統領や政府高官などのプレーヤー間での交渉、各プレーヤーの能力・認識・競合する選択肢を一本化する際の手続きなどが決定要因になるとしている。これら3つのモデルを使って、ソ連がキューバに核攻撃ミサイル配備を決め、米国が偵察活動によってこれを知り海上封鎖によって持ち込みを阻止し、ケネディ大統領以下のワシントンとフルシチョフ第一書記以下のモスクワが取った行動を分析している。

〔桜井 敏浩〕

(グレアム・アリソン+フィリップ・ゼリコウ 漆島稔訳 日経BP社発行・日経BPマーケッティング発売 2016年3月 各2,400円 Ⅰ-417頁 ISBN978-4-8222-5128-4 Ⅱ-475頁 ISBN978-4-8222-5129-1 )