『ブラジルの政治経済と日本のODA』  | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『ブラジルの政治経済と日本のODA』 

国際開発学を学んだ(修士課程卒)著者が、ブラジルの戦後の政治経済史(ヴァルガス革命以降。1946~64年のポピュリズムの時代、64年~85年の長期軍事政権の時代)、サルネイ政権からの新共和制、カルドーゾおよびルーラ政権と2011~15年のルセフ政権に至るまでと、ブラジル外交とメルコスール(南米南部共同市場)、日本・ブラジル外交関係史を概観し、後段では日本のブラジルへの ODA を円借款供与と技術協力、特にセラード農業開発を、入手した限られた資料から纏めて紹介し、最後にブラジル経済の今後の展望と ODA の今後について私見を述べたもの。

使用参考文献をみても範囲・内容が少なく、資料の性格(執筆者の主張・立場など)を吟味しないまま分析なしに概況・経緯を整理したとしか言えないし、結語で「ブラジルのインフラ整備のための円借款の供与は今日でも行われている。またJICAの設立もセラード農業開発のためである」といったような誤った言で締めくくっている。ブラジルへの ODA 分析はJICAや外務省といった供与者側からはかなり詳細に行われているが、民間研究者からの客観的な分析評価はきわめて少ないだけに、せっかくのテーマをもっと掘り下げて欲しかったとの読後感が残る。

〔桜井 敏浩〕

(布目 稔生 文芸社 2016年7月 154頁 1,100円+税 ISBN978-4-286-17416-7 )