『キューバ -超大国を屈服させたラテンの魂』  伊藤 千尋 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『キューバ -超大国を屈服させたラテンの魂』  伊藤 千尋

 学生時代にはキューバのサトウキビ刈り国際ボランティアに参加し、朝日新聞のサンパウロ、バロセロナ、ロサンジェルス特派員を務め、キューバはじめラテンアメリカとの付き合いの長い著者のキューバ解説。
 米国との国交回復に至る米国の内部事情や米州に続いた反米政権ラッシュなどの背景、「キューバの水戸黄門・カストロ」と名付けたフィデルの半生、「理想を追い求めたゲバラ」の革命から南米ボリビアでの死、「米国の干渉」の歴史、サトウキビ刈り動員やミサイル危機を経て「理想から現実へ」、1980年代から「特派員として見てきたキューバ」について、ソ連型社会主義の弊害や危機に陥った平等主義などの課題も指摘しているが、終始キューバの生き方に共感をもって観察している。キューバ革命は社会主義を掲げて起こしたものではなく、現在も社会主義の国だと決めつけるに違和感がある、人種差別のない社会正義実現をめざした思想家ホセ・マルティ主義というべきと締めくくっている。
                                  〔桜井 敏浩〕

 (高文研 2016年1月 206頁 1,500円+税 ISBN978-4-87498-586-1 )

 〔『ラテンアメリカ時報』2016年秋号(No.1416)より〕