『中南米野球はなぜ強いのか -ドミニカ、キュラソー、キューバ、ベネズエラ、MLB、そして日本』 中島 大輔 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『中南米野球はなぜ強いのか -ドミニカ、キュラソー、キューバ、ベネズエラ、MLB、そして日本』 中島 大輔

 著者は、2013年から 4ヵ国の野球事情を取材し、心身ともにパワフルな選手や指導者たちに惹かれ会ってきた、スポーツ・ノンフィクション作家。ドミニカ共和国には、中日の森 繁和監督が外国人選手供給基地として目を付け、そのルートを開拓したが、同国はMLB(米大リーグ)の野球アカデミーを税制面で優遇し、選手発掘・育成の拠点を置きやすくしており、オランダ領キュラソーは人口15万人に過ぎないが少年野球世代からの長期的育成システムで大リーガーを輩出している。キューバは国内完結型で国家主導によって少年時代からステートアマチュアの選手を育成しているが、経済的動機から米国へ亡命する選手が少なくなく、そのシステムは限界が窺える。ベネズエラの野球アカデミーはどれもがプロ養成が目的で、大リーグ等に選手を送り出すことで経営が成り立っている。
 日本の野球界が少年、中学・高校、大学、社会人、プロ野球とそれぞれステークホルダーが乱立して狭いムラ社会から脱却できず、各々が短いサイクルでの勝利を目指して長期的視野での育成が出来ていない現状で、これらの国々の長い目で見ている育成は大いに参考なるとの結論を導き出している。
                                〔桜井 敏浩〕
(亜紀書房 2017年4月 367頁 1,800円+税 ISBN978-4-7505-1502-1 )

〔『ラテンアメリカ時報』2017年春号(No.1418)より〕