『ラテンアメリカはどこへ行く グローバル・サウスはいま⑤』 後藤 政子・山崎 圭一編著 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『ラテンアメリカはどこへ行く グローバル・サウスはいま⑤』 後藤 政子・山崎 圭一編著

 これまでの「南北問題」という単純な構図で区分出来ない、グローバル化の進展による変化から経済の低迷、政治の混迷、所得格差の拡大、非正規労働者の増大、難民・移民の流出入増などの事象が世界各地で起きている。本シリーズはそれらをアジア、中東、アフリカ等で見てきた最終刊として、ラテンアメリカを考察する。まず第Ⅰ部「ポスト新自由主義に向けた社会構想」では、21世紀におけるラテンアメリカの課題、ポスト新自由主義と対峙するこれまでの“赤”ではない“ピンクの波”といえる左派政権の続出、米州の地域統合と新しい地域主義プロジェクト、先住民運動の多様性などの政治・社会の変化を、さらにグローバル・バリューチェーンの形成と統治の必要性、スラム問題解決にはならなかったブラジルの労働者党政権下での貧困層向け住宅政策、米国在住ラティーノの高まる存在感と移民が外交関係にもたらす影響を追っている。第Ⅱ部「ラテンアメリカ諸国の課題」では、キューバの「公正な社会」、ベネズエラの「社会的政治的多様性」、ブラジルでの「中所得国の罠」、メキシコでの麻薬取引と暴力の横行、コスタリカのエコツーリズム発展と米国依存への変容、アルゼンチンの依然根強いペロニズム、チリの1988年のピノチェ大統領の継続を拒否した国民投票後4代2010年まで続いたコンセルタシオン政権の功罪を、4編のコラムとともに17人の執筆者が解説している。
                                〔桜井 敏浩〕
 (ミネルヴァ書房 2017年5月 244頁 4,500円+税 ISBN978-4-623-08018-2 )

 〔『ラテンアメリカ時報』2017年夏号(No.1419)より〕