『アンデス文明― 神殿から読み取る権力の世界』 関 雄二編著 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『アンデス文明― 神殿から読み取る権力の世界』 関 雄二編著

 わが国のアンデス文明考古学者の60年来の成果の一つに、世界文明の大型祭祀建造物の建設にはその地に余剰生産力があってはじめて可能になるという従前からの説に対して、それを覆す画期的な仮説「神殿更新説」の提示がある。本書はこの「神殿更新説」の流れを継承しながら、依然残された問題点や課題の解明を、編者が中心になって2005年以来行ってきたペルー北部高地のパコパンパ遺跡発掘調査の成果から集大成したもの。
 これまでの発掘調査では、考古学や文化人類学の枠の中で行われてきたが、近年は様々な分野の科学者も加わり、横断的な分析・比較が大幅に取り入れられた。権力形成を遺構建築の推移から、神殿の位置付けを自然環境の変化から、年代測定やDNA等測定技術の進歩、土器や骨角器具、金属器などの製作技術、廃棄物などの検証からその利用や当時の生活、権力構造を洞察し、同じ北部山地のクントゥル・ワシ遺跡や海岸・中間地点での調査結果と付き合わせることによって、アンデス文明の形成過程を明らかにしようとしている。
                              〔桜井 敏浩〕

(臨川書店 2017年3月 473頁 7,900円+税 ISBN978-4-6530-4319-5 )

〔『ラテンアメリカ時報』2017年夏号(No.1419)より〕