日本チリ修交120周年記念講演会「日本とチリの二国間ビジネス関係の今後」(2017年12月6日(水)開催) | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
Japanese English

日本チリ修交120周年記念講演会「日本とチリの二国間ビジネス関係の今後」(2017年12月6日(水)開催)

【日時】 2017年12月6日(水) 15:00~16:30
【場所】 東京商工会議所 3F会議室 5・6
【講師】 セサル・ロス 国立チリ・サンチャゴ大学教授
【参加者】34名

 セサル・ロス教授は国立チリ・サンチャゴ大学で経済史や国際関係史の教鞭を取るかたわら、1980年代以来、歴史学者の立場からチリと日本の関係を専門的に研究し、2007年に、『チリと日本 1973−1989年:不確実性から戦略的提携へ』(スペイン語)を出版、現在、その続編を執筆中です。今回の講演では、同教授から歴史的観点から見た両国関係とその将来像についてお話をいただきました。以下が概要です。

■日智に限らず、二国間関係を考える場合、政治・経済両面から見る必要がある。更に、将来を見通すには、リスク要因の検証と歴史(全体)観も不可欠。その観点で良好な二国関係の鍵となる要素を整理すると、以下に纏められる;
 1.好ましい非対称性(相互補完関係)
 2.特異な(不可分の)経済関係
 3.(現代的な意味での)現実主義(プラグマティズム)
 特に、チリの対外政策を考える場合、バックボーンのプラグマティズム(実用主義)の
 存在を理解することが大事である。

■チリと日本の間に存在する堅い絆は以下の6点に要約できる。
 1.120年の歴史的関係
 2.危機を乗り切る力
 3.戦略的関係を結ぶ意思(ブリッジ思想=アンドラカCAP(太平洋製鉄)会長の言う
 「合意する意思」)
 4.相互理解力
 5.日智経済委員会(密接な官民連携)
 6.二国間枠組(経済連携協定EPA他)

■チリは世界の富がアジアに集中という幻想と、アジアでの日本の存在感の低下、中国の覇権主義、将来の中国・インド両国の経済統合という懸念を抱いている。今、この懸念に朝鮮半島問題が加わり、リスクが拡大しているとの認識にある。他方、ラテンアメリカでも、一次産品価格の低迷、第4次産業革命、ボリバル革命の破綻、中道政党の伸長、正統経済の復帰(アルゼンチンのマクリ、ペルーのクチンスキー両政権)などの変化が起きている。チリに限っても、銅価格低迷に起因する低成長に加え、政権リーダーの政策実行力の低下(バチェレ大統領)などの問題を抱え、「チリ・モデル」が色褪せている。これも対外的にはリスクとなり得る。

■次期政権の喫緊の課題は年金改革。特にピニェラ候補は公約に掲げている。しかし、ピニェラ候補とて、議会対策が大きな壁になると予想され、簡単ではない。経済面では、先進国のEVシフトが顕著ゆえ、リチウム開発が希望の光だ。自分としては、将来、チリに大きな変化(ブレークスルー)をもたらす要素は、この年金改革とリチウム開発の二つと見ている。

■日本との関係では、大きな不安材料はない半面、好材料にも欠ける。ビジネス面での関係拡大という観点では、リチウムは発展のバネになる可能性がある。また、チリを拠点とする日本のバリューチェーン開発も起爆剤になる。共通の使命感を持って、両国関係者が意思を一致させる努力が重要と考える。

講演後、参加者から12月17日の大統領選挙の行方、トランプ政権下での米智関係、イデオロギーを異にする中国との連携の将来性、日本とチリが夫々アジアと南米のゲートウェイというビジネス発想などについて質問や意見が出された。

【配布資料】
なお、本講演の説明資料はラテンアメリカ協会のホームページに掲載される(会員限定)

“THE FUTURE OF CHILE-JAPAN BUSINESS RELATIONS”(PDF)

セサル・ロス 国立チリ・サンチャゴ大学教授 作成


セサル・ロス 国立チリ・サンチャゴ大学教授

会場の様子