ラ米経済、「オランダ病」に要注意 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

ラ米経済、「オランダ病」に要注意


2003年以降のラ米の経済成長は目覚しく、4年連続プラス成長を記録したのは過去25年間でこれが2回目だそうだ。今回の高度成長は石油、ガス等のエネルギー資源のみならず鉱産物、農産物等の一次産品価格の高騰による。これまでだと、中南米はこういう好況時には大型プロジェクトの実施等の放漫財政に走ったものだが、今回はむしろこのチャンスを対外債務の返済やセカンダリー・マーケットでの自国債務の買戻し、あるいは外貨準備の積み増しなどに活用している。もっとも、いくつかの国では依然として財政赤字とインフレの亡霊が付きまとってはいるが。いずれにしても、現在、中南米には二つの大きなリスクがあるのではないかと懸念する向きがある。ひとつは一次産品輸出価格の高騰が国内の一般的な給与と価格の上昇をもたらし、これが特に工業部門の価格競争力の低下を招くいわゆる「オランダ病」に罹る危険性、特にアジアの工業製品と太刀打ちできなくなるのではないかということ。もうひとつは、グローバリゼーションの下で政治指導者が必要以上に“独立”を主張する傾向にあること。一次産品価格高騰に基づく好況も遅かれ早かれ終焉を迎えるだろうから、いまから真剣にグローバルな競争力強化策を講じておかないと、そのうちに深刻な結果を招きかねないのではないか、と。