『アルパの調べと歌:南米パラグアイの音楽』 早川智三 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『アルパの調べと歌:南米パラグアイの音楽』 早川智三


17世紀にスペイン人によってその原形が持ち込まれ、クラシック・ハープとは異なる独自の進化を遂げた新大陸のアルパ。メキシコ、ベネズエラ、ペルーなどでも広く用いられるが、独奏楽器として不動の地位を与えたのはパラグアイである。

これを助けたのがソフト面(楽曲)の充実であろう。ラプラタ地域にヨーロッパで流行していたポルカ(ボヘミア民族舞踏)が伝わったのが19世紀半ば。やがてその音楽様式は、6/8二拍子の旋律に対し、6/8三拍子のリズム(6/8と3/4の並列進行)という複雑な形に変化した。これがパラグアイのポルカ(Polka Paraguaya)の特徴だという。

かくしてパラグアイは卓越した演奏・作曲家を輩出し、「アルパという楽器の持っている可能性を最高レベルにまで引き上げ」ることとなる。本書はこのような歴史的経緯を踏まえつつ、主要演奏家とそのレパートリーの聴きどころを解説したディスコグラフィーである。

本書の構成は次のとおり:1.南米パラグアイの音楽とアルパ/2.パラグアイ音楽の伝承と興隆/3.パラグアイを代表する音楽家たち/4.パラグアイを代表するアルパ奏者たち/5.パラグアイを代表する作曲家/6.日本におけるパラグアイ音楽

(2006年7月221頁発行:知玄社発売:星雲社2800円+税)