『目で見るブラジル日本移民の百年 −ブラジル日本移民百年史別巻』 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『目で見るブラジル日本移民の百年 −ブラジル日本移民百年史別巻』


ブラジル日本移民史料館・ブラジル日本移民百周年記念協会百年史編纂委員会編

移住100周年記念事業として日系団体が総力を挙げて編纂する『ブラジル日本移民百年史』全5巻がこれから2011年末までの予定で刊行されることになったが、これはその第1冊別巻の写真集。

笠戸丸移民以前の先駆者、第1回の笠戸丸移民とその頃のコロノ(コーヒー農園の契約労働者)時代、日本人移住者の独立を目指しての開拓、教育、文化活動を含む日伯関係の幕開けから、戦時中と戦後のナショナリズムの狭間の排日運動、勝ち組・負け組騒動や祖国帰還を謳った詐欺事件などの困苦、在留から永住への変化と戦後移民の到着、二世の台頭と一世の成熟による日系社会の安定と発展、農業、日本企業進出と地場産業の拡大、スポーツや文化などでのブラジルへの貢献、グローバル化の中のニッケイと、それぞれに写真を集大成し、日本語とポルトガル語で簡単な解説を付けてある。巻末に地図と日本移住史年表も収録されている。

100年に及ぶブラジルでの日本人移民の足跡を物語る、実に貴重な写真が数多く収録されていて、移住の実態を目で理解するためにも有用であり一見を薦めたい。

(風響社2008年4月251頁1905円+税)