『アンデスの青い空』 高山 順子 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『アンデスの青い空』  高山 順子


大阪の公立学校教員として35年を過ごした後、日本語教師として中国や枚方市で在住外国人の子どもを対象にした社会活動に従事してきた著者ならではの体験を基にした短編小説集。

本書後半が、ペルーから日本に来た少女が編入された公立小学校で日本語指導員として、少女とその家族、学校、同級生との間の調整も担いながらその成長を見守るなかで、いじめや両親の偽装結婚がばれて滞在資格が危うくなる事件や、同僚教師の外国人子弟教育への非協力、市の財政難を理由にした日本語教室への補助金打ち切り問題などの山積が、淡々と描かれている。最後は長年の夢だった夫とのマチュピチュ旅行記が収録されている。

在日ペルー人の日本語教育に携わる教員を通じて、彼らの家族観や周囲の日本社会との関わりの一端が窺える。

(アットワークス2012年5月277頁1600円+税)