『続・生老病死のエコロジー −ヒマラヤとアンデスに生きる 身体・こころ・時間』 奥宮 清人・稲村 哲也編 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『続・生老病死のエコロジー −ヒマラヤとアンデスに生きる 身体・こころ・時間』 奥宮 清人・稲村 哲也編

総合地球環境学研究所が8年にわたって行ってきた高地プロジェクトの成果。環境の厳しい高所の住民の生活の質(QOL)が高いのは何故かという問題意識から始まり、環境に適応した生業活動、厳しい自然環境とうまく付き合う知恵、技術、人々の絆と共同の仕組み、信仰、価値観などの巧みな組み合わせである高地文明であるが、他方近代化や社会・経済、新たな生活様式の浸透によって、微妙なバランスが崩れ、高所の人々の身体と心に異変が起きている。

22人の様々な分野の専門家、研究者が、ヒマラヤ(ラダーク地方)、チベット、アンデス(コタワシ・プイカ地区)を中心にした長期現地調査をまじえ、医学と文化変容を接合させた調査研究のやり方、高所世界の変容、時間医学(体内時計)からみた住民、低酸素適応と生活習慣病、鬱や心の病気などを観察、検証している。6章構成に12のコラムが加わるが、高度3000mで超音波で見た心臓、高所と酒、高所住民の慢性的高山病、終末期の看取り等、現地で実際に調べたことばかりで実に興味深い。

最終第6章では、高所プロジェクトから見た地球環境問題の捉え方、環境異変、人口増と人間の営為が地球環境問題を引き起こしていることから、人間と生態系の共生が可能かという課題を「高所」は語っていると指摘している。

(昭和堂2013年3月322頁3000円+税)