『真珠の世界史 −富と野望の五千年』 山田 篤美 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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『真珠の世界史 −富と野望の五千年』 山田 篤美

アラビア半島や南インド産の真珠は、古代ギリシャ、ローマ文明で最高の宝石と珍重され、日本でも九州等の縄文遺跡に見られるが3世紀頃から特産品であったことは魏志倭人伝にも登場する。16世紀の大航海時代に、ポルトガルがオリエントの真珠貿易を獲得するとともに、新たにスペインが征服したベネズエラ沿岸部が真珠貝の産地と判明し、欧州に一大真珠ブームが起きた。しかし、20世紀に日本で養殖真珠が作られ、世界市場を席巻して欧米宝石商の支配構造を瓦解させたが、大量消費時代の大量生産品となった養殖真珠はグローバル化と環境問題によって、その後日本の養殖産業は先細りに転じている。

本書の中で、大航海時代の新大陸での新産地の発見とアジア交易ルートの拡大という一大供給事情の変化、ブラジルでの発見から始まったダイアモンドとの競合、英国が争奪戦を制して支配に成功した真珠産地の興隆などを、多くの歴史のエピソードを交えて辿っており、真珠という交易品の歴史から見た世界史・日本史と現代の養殖真珠の登場による激変を余すところなく、分かりやすく解説している。

(中央公論新社(中公新書)2013年8月309頁940円+税)