資本のグローバリゼーションの進展、市場原理主義、ネオリベラリズムによる経済改革の下で、労働市場から排除され職場や地域の社会集団での繋がりや社会参加の機会を失うという深刻な問題が起きている。国家はこの「社会的排除」の問題に十分対処出来ないばかりか、救済の責任を放棄している。そこで社会的に排除された人々をコミュニティによって包摂することが重要になることから、ラテンアメリカ各地の事例を「脱伝統的コミュニティ」としてメキシコのチアパスのサパティスタ運動、在日ブラジル人の宗教コミュニティ、「都市型」としてベネズエラの都市貧困コミュニティとメキシコのチョルラの都市祭礼コミュニティ、「農村型」としてメキシコ南部のマヤ教会の農村コミュニティとメキシコ植民地期の先住民コミュニティの三つに分類して、関西を中心にした7人の研究者が分析した論集。
〔桜井 敏浩〕
(晃洋書房 2014年12月 208頁 2,500円+税 ISBN 978-4-7710-2586-8)
〔『ラテンアメリカ時報』2015年春号(No.1410)より〕