過酷な風土を生き抜く人々の営み、信仰をテーマに、サハラ砂漠やエチオピア、聖地メッカなどの中近東、チベット、アンデスなどを何度も訪れている写真家による、我々の住む現代社会とは対極にある極限の高地を生きる人々の力を撮影した写真集。
初めて2002年に訪れたアンデスで、スペイン征服者が強いたキリスト教の背後に先住民が受け継いできた伝統信仰を忍び込ませた独特の文化と、圧倒的に厳しい自然条件の中で慎ましく生き抜いている人たちを知ろうと、厳冬の高山への巡礼コイユリーナ、インカの首都だったクスコ、アンデスの最山奥で自給生活を続けているケロの村、最盛期には欧州で流通する銀の2割を供給していたポトシ銀山、ウユニの塩原、20世紀初頭までチリ硝石を採掘していたアタカマ高地、標高3500~4000mのアルティプラーノの乾燥と低温の自然の中で生き抜く人たちを撮影している。アンデスの章だけで50枚余、それぞれ21×31cmの大型版カラーで撮られた実に迫力ある写真集である。
〔桜井 敏浩〕
(日経ナショナルジオグラフィック社発行・日経BPマーケティング発売 2015年7月 199頁 ISBN978-4-86313-322-8)